言志四録 / 言志録 第十五条 辞を修め誠を立つ
脩辭立其誠。立誠脩其辭。其理一也。
新字:脩辞立其誠。立誠脩其辞。其理一也。
書き下し
辞を修めて其の誠を立つると、誠を立てて其の辞を修むると、其の理は一なり。
現代語訳
言葉を整えることによって誠を確立することと、誠を確立したうえで言葉を整えることとは、その道理は一つである。
解説
『易経』乾卦文言伝の「辞を修めて其の誠を立つ」を踏まえた条です。言葉を慎み整えれば、それが内なる誠を確かなものにする。逆に、誠が内にあれば、言葉もおのずと整う。外から内へ、内から外へという二つの道筋は、実は一つの道理だと一斎は言います。言葉は心の表れであると同時に、心を形づくるものでもある、という見方です。口先だけの言葉は誠を損ないますが、誠があるのに言葉を粗末にしてよいわけでもありません。報告や提案の言葉を丁寧に選ぶことが、そのまま自分の考えや姿勢を確かにしていく、という経験に照らして読める一条です。
この章句が説くこと
誠言葉修辞言行一致内外一致
関連する章句
-
言志四録・言志後録 第百七十七条 実言は物を動かす実言は、芻蕘の陋と雖も、以て物を動かすに足る。虚言は、能弁の士と雖も、人を感ぜしむるに足らず。
-
『呻吟語』内篇・存心・君子の口中に慣語無し君子の口中に慣語無きは、存心の故なり。故に曰く、「辭を修めて其の誠を立つ」と。誠ならずんば、何を以て辭を修めんや。
-
『甲陽軍鑑』品第四十子細は信玄公わかうまします時より、諸侍のことばをよくきゝ、分別あるも、なきも、つよからんも、よはからんも其人の物いふ儀にてつもり被成たるが、今日にいたるまでも、それがしむけんならくへ堕罪仕らん、少もあひちがはず候、さるほどに、よき事をもほめ所を見いだし、聞付穿鑿の取さたをもつて善をば善と定め、悪をば悪とさだめ、道理をつめてほめそしる武士の作法なり、さなくして、かたはし聞て我贔負の者を虚空によきとばかり批判する事女にあひにたる侍、と信玄公の常々御諚これなり、如此有様にせんさくあそばす故、若手に能武士出くるなりと阿部加賀守申て、金丸助六郎·同惣蔵にをしゆる也、
-
『正法眼蔵随聞記』巻一雑話の次でに云く、世間の男女老少多く交会姪色等の事を談ず、是を以て心を慰むるとし、興言とすることあり、一旦意をも遊戯し、徒然も慰むるに似たりと云ふとも、僧はもつとも禁断すべきことなり、俗猶よき人、まことしき人の、礼儀をも存じ、げにげにしき談の時、出来らざることなり、只乱酔放逸なる時の談なり、況や僧は専ら仏道を思ふべし、雑語は希有異体の乱僧の云ふことなり、
-
人物志・八觀其の言甚だ懌べども、精色従わざる者は、中に違う有るなり。其の言違う有れども、精色信ずべき者は、辞の敏ならざるなり。
-
論語・顔淵篇司馬牛、仁を問う。子曰く、「仁者は、其の言や訒し。」曰く、「其の言や訒しければ、斯れ之を仁と謂うか。」子曰く、「之を為すこと難し、之を言うこと訒きこと無きを得んや。」
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る