言志四録 / 言志後録 第百五十三条 土俗と習俗
風俗亦人氣也。故有土俗。有習俗。習可變而土不可變。是亦止順導之。抑其過而掖其不及耳。爲政者所宜知。
新字:風俗亦人気也。故有土俗。有習俗。習可変而土不可変。是亦止順導之。抑其過而掖其不及耳。為政者所宜知。
書き下し
風俗も亦人気なり。故に土俗有り、習俗有り。習は変ずべくして土は変ずべからず。是れも亦止だ之を順導して、其の過を抑へて其の及ばざるを掖くのみ。政を為す者の宜しく知るべき所なり。
現代語訳
風俗もまた人の気である。だから土地に根ざした土俗があり、習い染まった習俗がある。習俗は変えられるが、土俗は変えられない。これもまた、ただ従って導き、行き過ぎを抑え、足りないところを助けるだけである。政治を行う者が知っておくべきことである。
解説
前条の個人の気質論を、地域の風俗に広げた一条です。人の気質に土気と習気があるように、土地の風俗にも、その地に根ざした「土俗」と、後から身についた「習俗」がある。習俗は教化や施策で改めることができるが、土俗は変えられない。だから為政者は土俗を無理に改めようとせず、その流れに沿って導き、行き過ぎを抑え、足りないところを助けるだけにせよ、と一斎は言います。岩村藩の政治にも関わった一斎の、現実を踏まえた統治観がうかがえます。組織でいえば、変えられる慣行と、長年培われた変えにくい気風を見分けることにあたります。改革を進めるとき、何を変え、何を生かすべきかを考える手がかりになる言葉です。
この章句が説くこと
風俗為政組織文化順導改革
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