言志四録 / 言志後録 第百五十二条 土気と習気
人氣質混合土氣習氣。須識別。土氣。由其地氣結聚者。竟是主氣也。習氣。緣其習俗滲染者。原是客氣也。客可逐而主不可逐。故易變化者習氣。不易變化者土氣。土氣止順導之。去其過不及耳。
新字:人気質混合土気習気。須識別。土気。由其地気結聚者。竟是主気也。習気。縁其習俗滲染者。原是客気也。客可逐而主不可逐。故易変化者習気。不易変化者土気。土気止順導之。去其過不及耳。
書き下し
人の気質は土気習気を混合す。須らく識別すべし。土気は、其の地気の結聚に由る者にして、竟に是れ主気なり。習気は、其の習俗の滲染に縁る者にして、原是れ客気なり。客は逐ふべくして主は逐ふべからず。故に変化し易き者は習気、変化し易からざる者は土気なり。土気は止だ之を順導して、其の過不及を去るのみ。
現代語訳
人の気質には、土気と習気とが混じり合っている。これを見分けなければならない。土気とは、その土地の気が凝り集まってできたもので、結局は主となる気である。習気とは、その土地の習俗に染まってできたもので、もともと客の気である。客は追い払えるが、主は追い払えない。だから変わりやすいのは習気で、変わりにくいのは土気である。土気はただこれに従って導き、その行き過ぎと足りなさを取り除くだけである。
解説
人の気質を「土気」と「習気」に分けて論じた一条です。土気は生まれ育った土地の気風が染み込んだもので、その人の主となる気質です。習気は周囲の習慣や風俗に染まって身についたもので、外から来た客の気質です。客は追い出せても主は追い出せないように、習気は変えられても土気は容易には変わらない。そこで一斎は、土気は無理に変えようとせず、その向きに沿って導き、行き過ぎと不足を削るだけでよいと言います。朱子学の気質変化の説を、現実的に修正した見方といえます。人を育てるとき、変えられる癖と変えにくい持ち味を見分けることは大切です。持ち味を否定せずに生かし、過不足だけを整えるという考え方は、人材育成の実際に通じます。
この章句が説くこと
気質土気習気人材育成順導
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