言志四録 / 言志後録 第百十八条 門面を装ふ勿れ
勿裝門面。勿陳家儅。勿揭招牌。勿假他物以誇衒。書以自警。
新字:勿装門面。勿陳家儅。勿掲招牌。勿仮他物以誇衒。書以自警。
書き下し
門面を装ふ勿れ。家儅を陳ぶる勿れ。招牌を掲ぐる勿れ。他物を仮りて以て誇衒する勿れ。書して以て自ら警む。
現代語訳
表構え(門面)を飾り立ててはならない。家財道具を並べ立ててはならない。看板を掲げてはならない。他人の物を借りて見せびらかしてはならない。これを書き記して自らへの戒めとする。
解説
見せかけを戒める四つの「勿れ」を並べ、自らへの戒めとして書き留めた条です。門構えを飾る、家財を並べる、看板を掲げる、他人の物を借りて誇る。いずれも中身ではなく外見で人に認められようとする振る舞いです。学問でいえば、学識をひけらかしたり、名家の門下であることや著名人との交際を誇ったりすることにあたるでしょう。幕府の儒官として名声の高かった一斎が、わざわざ「自ら警む」と記しているところに、名声が人を飾らせる誘惑の強さと、それに対する一斎の警戒心がうかがえます。肩書きや実績、人脈を前面に出したくなるとき、それが中身の代わりになっていないかを問い直す手がかりになる一条です。
この章句が説くこと
虚飾謙虚自戒実質名声
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