言志四録 / 言志後録 第百十四条 都べて情上に於て理会す
大學自誠意說好惡。至平天下說絜矩。中間亦忿懥四件。親愛五件。孝弟慈三件。都於情上理會。
新字:大学自誠意説好悪。至平天下説絜矩。中間亦忿懥四件。親愛五件。孝弟慈三件。都於情上理会。
書き下し
大学は誠意より好悪を説き、平天下に至りて絜矩を説く。中間も亦忿懥の四件、親愛の五件、孝弟慈の三件、都べて情上に於て理会す。
現代語訳
『大学』は、誠意の章から好悪(善を好み悪を憎むこと)を説き、平天下の章に至って絜矩(自分の心を物差しとして人の心を推し量ること)を説く。その間にも、忿懥(怒り)など四つの感情、親愛など五つの偏り、孝・弟・慈の三つがあり、すべて情の上で理解し体得するように説かれている。
解説
前条の「皆情の世界なり」を受けて、『大学』全体が情を軸に組み立てられていると読み解いた条です。誠意章は「悪臭を悪むが如く、好色を好むが如し」と好悪を説き、平天下章は、自分の嫌なことを人にしないという絜矩の道で締めくくられます。その間の正心章には忿懥・恐懼・好楽・憂患の四つ、修身斉家章には親愛・賤悪・畏敬・哀矜・敖惰の五つの偏り、斉家治国章には孝・弟・慈の三つが挙げられています。朱子学は理を重んじますが、一斎は修身から天下の政治まで、実は人の感情の扱い方の話だと見抜いたのです。組織を治めることも、制度の設計以上に、人の感情をどう理解し整えるかにかかっていると考えさせる一条です。
この章句が説くこと
大学情絜矩好悪修身
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