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言志四録 / 言志後録 第百八条 老人は衆の矜式

老人。衆之所觀望而矜式也。其言動當益端。志氣當益壯。尤宜以容衆育才爲志。今之老者。或有漫唱年老。甘頽棄者。或有猶爲少年伎倆者。皆非也。

新字:老人。衆之所観望而矜式也。其言動当益端。志気当益壮。尤宜以容衆育才為志。今之老者。或有漫唱年老。甘頽棄者。或有猶為少年伎倆者。皆非也。

書き下し

老人は衆の観望して矜式する所なり。其の言動当に益々端しかるべく、志気当に益々壮んなるべし。尤も宜しく衆を容れ才を育つるを以て志と為すべし。今の老者、或は漫りに年老を唱へて頽棄に甘んずる者有り、或は猶ほ少年の伎倆を為す者有り。皆非なり。

現代語訳

老人は、人々が仰ぎ見て手本とする存在である。その言葉や行いはますます正しくあるべきであり、志や気概はますます盛んであるべきである。とりわけ、多くの人を受け入れ、才能ある者を育てることを志とすべきである。今の老人の中には、むやみに年を取ったと口にして、衰えて投げやりになることに甘んじる者がいる。あるいは、なおも若者のような腕前を見せようとする者がいる。どちらも間違っている。

解説

年長者のあるべき姿を説いた条です。老人は周囲が仰ぎ見て手本とする存在なので、言動はいっそう端正に、志はいっそう盛んであるべきだと一斎は言います。とくに大切なのは、衆を受け入れ、才ある者を育てることを自分の志とすることです。一方で、年だからと投げやりになる者も、若者と張り合って腕前を誇る者も、ともに誤りだと退けます。有名な「老いて学べば、則ち死して朽ちず」の言葉を残した一斎は、七十代を過ぎても昌平坂学問所で多くの門人を育てました。自身の実感から出た言葉でしょう。ベテランや管理職になったとき、自分が前に出て成果を競うのか、人を育てる側に回るのか、その役割の変化を考えさせる一条です。

この章句が説くこと

老い人を育てる志手本年長者

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