言志四録 / 言志後録 第八十六条 順境は春、逆境は冬
順境如春。出遊觀花。逆境如冬。堅臥看雪。春固可樂。冬亦不惡。
新字:順境如春。出遊観花。逆境如冬。堅臥看雪。春固可楽。冬亦不悪。
書き下し
順境は春の如し、出遊して花を観る。逆境は冬の如し、堅臥して雪を看る。春は固より楽しむべし、冬も亦悪しからず。
現代語訳
順境は春のようなもので、外へ出かけて花を見る。逆境は冬のようなもので、家にじっと籠もって横になり雪を眺める。春はもとより楽しいものだが、冬もまた悪くはない。
解説
順境と逆境を季節にたとえた、短く味わい深い一条です。順境の春には外へ出て花を楽しみ、逆境の冬には無理に動かず、家に籠もって雪景色を眺める。「堅臥」はどっしりと横になって動かないことで、嘆くのでも焦るのでもなく、その時節にふさわしい過ごし方をするという構えです。冬を耐えるべき苦しみとしてではなく、冬なりの趣があるものとして受け止めている点に、一斎の練れた人生観が表れています。季節がめぐるように境遇もまた移り変わると知っていれば、逆境の中にも静かな楽しみを見出せます。業績が振るわない時期や停滞期を、次の春に備えて内を養う季節と考えられるかどうか、自分の構えを見直すきっかけになるでしょう。
この章句が説くこと
順境逆境処世達観時節
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