言志四録 / 言志後録 第七十八条 造化は地の功を語る
天始氣而地造物。天變而地化也。是知造化二字語地功。不獨人爲地。而萬物皆地也。然非天氣入而主宰之。則物不能活。人不能靈。主宰之靈。即性也。
新字:天始気而地造物。天変而地化也。是知造化二字語地功。不独人為地。而万物皆地也。然非天気入而主宰之。則物不能活。人不能霊。主宰之霊。即性也。
書き下し
天は気を始めて地は物を造る。天は変じて地は化するなり。是に知る、造化の二字は地の功を語るを。独り人のみ地たるにあらず、万物皆地なり。然れども天気入りて之を主宰するに非ずんば、則ち物活くる能はず、人霊なる能はず。主宰の霊は即ち性なり。
現代語訳
天は気をはじめに起こし、地は物を造る。天は変じ(きざしを起こし)、地は化する(形を成す)のである。これによって、「造化」の二字は地のはたらきを言ったものであることがわかる。人だけが地に属するのではなく、万物がみな地に属する。しかし天の気が入ってこれを主宰するのでなければ、物は生きることができず、人は霊妙であることができない。その主宰する霊妙なものこそが、すなわち性(本性)である。
解説
天と地の役割分担から、人の本性を説いた条です。『易』には「乾元、万物資りて始む」「坤元、万物資りて生ず」とあり、一斎はこれを受けて、天は気を始め、地は形ある物を造ると整理します。「造化」という言葉は物を造り形を変えることなので、本来は地の功を言うのだという指摘は、語義にこだわる儒者らしい着眼です。しかし形ある体だけでは生命も霊妙さも生まれず、天の気が宿って主宰してはじめて物は生き、人は霊となります。その主宰するものが「性」です。前の数条の「我が性の天たり、我が体の地たる」とも重なります。仕組みや体制を整えるだけでは組織は動かず、それを動かす精神が要るという話に置き換えて読むこともできます。
この章句が説くこと
天地造化性主宰気
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