言志四録 / 言志後録 第五十四条 皆迹なり
火滅。水涸。人死。皆迹也。
書き下し
火の滅するも、水の涸るるも、人の死するも、皆迹なり。
現代語訳
火が消えるのも、水が涸れるのも、人が死ぬのも、みな表に現れた痕跡(迹)にすぎない。
解説
火が消え、水が涸れ、人が死ぬ。一見すると物事の終わりですが、一斎はそれらを「迹」、目に見える現象としての痕跡にすぎないと言います。前の条で、宇宙はただ一つの「実」に満ちて欠けるところがないと述べたのを受けて、形あるものが消えても、その根底にある理や気は滅びないという考えを示したものでしょう。一斎は別の条でも、死を恐れることなく生死を一つながりのものとして見る態度をたびたび説いています。消滅を悲観的に捉えるのではなく、現象と本体を分けて見る視点です。事業の終わりや人の別れに直面したとき、何が失われ何が残るのかを考える手がかりになるかもしれません。
この章句が説くこと
死生観迹現象と本体無常
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