言志四録 / 言志後録 第四十六条 噎に因りて食を廃す
實學人志則美矣。然往往禁讀書。是亦因噎廢食。
新字:実学人志則美矣。然往往禁読書。是亦因噎廃食。
書き下し
実学の人、志は則ち美なり。然れども往往にして読書を禁ず。是れ亦噎に因りて食を廃するなり。
現代語訳
実学を重んじる人は、志はりっぱである。しかし、しばしば読書を禁じてしまう。これもまた、むせたからといって食事をやめてしまうようなものである。
解説
空理空論を嫌い、実際に役立つ学問を重んじる「実学」の人々に対する一斎の注文です。その志は立派だと認めたうえで、彼らがしばしば読書そのものを否定してしまうことを「噎に因りて食を廃す」、つまり食べ物が喉につかえたからといって食事をやめるようなものだと批判します。書物にばかり頼って実践しない弊害があるのは確かでも、だから書物を捨てよというのは行き過ぎだということです。朱子学の読書窮理と陽明学の実践重視の間に立った一斎らしいバランス感覚がうかがえます。現場主義や経験重視を掲げるあまり、学ぶこと自体を軽んじていないかを考えさせる一条です。
この章句が説くこと
実学読書学問極端の戒め
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