言志四録 / 言志後録 第三十九条 其れ難んじ其れ慎む
其難其愼。國家無不虞之患。惟和惟一。朝廷無多事之擾。
新字:其難其慎。国家無不虞之患。惟和惟一。朝廷無多事之擾。
書き下し
其れ難んじ其れ慎めば、国家に不虞の患無し。惟れ和惟れ一なれば、朝廷に多事の擾無し。
現代語訳
事を難しいものとして重んじ、つつしんで臨めば、国家に思いがけない災いは起こらない。和合し心を一つにすれば、朝廷に事が多くて乱れるということはない。
解説
書経咸有一徳篇の「其れ難んじ其れ慎み、惟れ和惟れ一」という句を引き、それぞれに効用を添えた一条です。書経では臣下の心得として、職務を難しいものと受け止めて慎重にあたり、上下が和して心を一つにすることが説かれます。一斎は前半を国家の安全に、後半を朝廷の安定に結びつけました。思いがけない災いの多くは、事を軽く見る油断から生じ、政務の混乱の多くは、内部の不和から生じるという見立てです。昌平坂学問所の儒官として幕府の政治を間近に見ていた一斎らしい視点でしょう。組織の危機管理と内部の結束が、どちらも心構えから始まることを思い起こさせます。
この章句が説くこと
慎重和一致為政危機管理
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