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言志四録 / 言志後録 第十五条 今日学ばずして来日有りと謂ふ勿れ

凡人所宜急做者。不肯急做。可不必急做者。卻要急做。皆錯慮也。如斯學卽當下事。卽急務實用事。勿謂今日不學而有來日。如張讌會客。登山泛湖。凡適意游觀事。則宜謂今日不爲而猶有來日可也。

新字:凡人所宜急做者。不肯急做。可不必急做者。却要急做。皆錯慮也。如斯学即当下事。即急務実用事。勿謂今日不学而有来日。如張讌会客。登山泛湖。凡適意游観事。則宜謂今日不為而猶有来日可也。

書き下し

凡そ人の宜しく急に做すべき所の者は、肯へて急に做さず、必ずしも急に做さざるべき者は、卻って急に做さんと要す。皆錯慮なり。斯の学の如きは、即ち当下の事、即ち急務実用の事なり。今日学ばずして来日有りと謂ふ勿れ。讌を張り客を会し、山に登り湖に泛ぶが如き、凡そ意に適ふ游観の事は、則ち宜しく今日為さずとも猶ほ来日有りと謂ひて可なり。

現代語訳

およそ人は、急いでやるべきことを急いでやろうとせず、必ずしも急いでやらなくてよいことを、かえって急いでやろうとする。これはみな考え違いである。この学問のようなものこそ、まさに今この場でなすべきことであり、急を要する実用の事柄である。今日学ばなくても明日があるなどと言ってはならない。宴を開いて客を招いたり、山に登ったり湖に舟を浮かべたりするような、およそ気晴らしの遊びごとこそ、今日しなくてもまだ明日があると言ってよいのである。

解説

急ぐべきことと急がなくてよいことを取り違えるな、という条です。「今日学ばずして来日有りと謂ふ勿れ」は朱子の作と伝わる「勧学文」の句で、一斎はこれを引きつつ、逆に遊びや宴会のほうこそ「明日がある」と言ってよいのだと切り返します。人はたいてい、楽しいことは今すぐやりたがり、学びや修養は後回しにする。その順序が逆さまだというわけです。学問を「当下の事」「急務実用の事」と言い切るところに、学問を実践と見る後録の基調が表れています。緊急ではないが重要なことほど、後回しにされやすいものです。今日の予定の中で、明日に回してよいものと回してはいけないものを分けてみる手がかりになります。

この章句が説くこと

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