言志四録 / 言志録 第二百四十四条 測るべきの理に安んず
世有君子有小人。其迭相消長者。數也。數之所以不得不然者。即理也。理有可測之理。有不可測之理。要之皆一理也。人當安於可測之理。以俟於不可測之理。是人道也。即天命也。
新字:世有君子有小人。其迭相消長者。数也。数之所以不得不然者。即理也。理有可測之理。有不可測之理。要之皆一理也。人当安於可測之理。以俟於不可測之理。是人道也。即天命也。
書き下し
世に君子有り小人有り。其の迭ひに相消長するは、数なり。数の然らざるを得ざる所以の者は、即ち理なり。理に測るべきの理有り、測るべからざるの理有り。之を要するに皆一理なり。人は当に測るべきの理に安んじて、以て測るべからざるの理を俟つべし。是れ人道なり、即ち天命なり。
現代語訳
世の中には君子もいれば小人もいる。その勢いがかわるがわる盛んになったり衰えたりするのは、巡り合わせ(数)である。巡り合わせがそうならざるを得ない理由は、すなわち道理である。道理には人が推し測ることのできる道理もあれば、推し測ることのできない道理もある。要するに、どちらも一つの道理である。人は推し測ることのできる道理に安んじて従い、推し測ることのできない道理(の結果)を待つべきである。これが人の道であり、すなわち天命である。
解説
君子と小人の勢力が入れ替わるのは「数」だが、その数の背後には「理」がある、と一斎は整理します。そして理には人の知で測れる部分と測れない部分があるが、根は一つだと言います。人がなすべきは、測れる理、つまり道理として分かっていることに従って行い、測れない部分は天に委ねて待つことです。『中庸』の「君子は易に居りて以て命を俟つ」を思わせる姿勢で、前の条の宿命論に、人の側の務めを加えたものと読めます。組織の浮き沈みや人事の巡り合わせは、自分ではどうにもならない部分があります。その中で自分に分かる筋を守り続けられるかが問われる、と考えさせる一条です。
この章句が説くこと
数理天命人道君子と小人
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