呻吟語 / 内篇・應務・理を貶せず、又た人を駭かさず
君子之處事有真見矣,不遽行也,又驗眾見,察眾情,協諸理而協,協諸眾情、眾見而協,則斷以必行;果理當然,而眾情、眾見之不協也,又委曲以行吾理。既不貶理,又不駭人,此之謂理術。噫!惟聖人者能之,獵較之類是也。
新字:君子之処事有真見矣,不遽行也,又験眾見,察眾情,協諸理而協,協諸眾情、眾見而協,則断以必行;果理当然,而眾情、眾見之不協也,又委曲以行吾理。既不貶理,又不駭人,此之謂理術。噫!惟聖人者能之,猟較之類是也。
書き下し
君子の事に處するに真見有るも、遽かに行はざるなり。又た眾見を驗し、眾情を察し、諸を理に協へて協ひ、諸を眾情・眾見に協へて協へば、則ち斷じて以て必ず行ふ。果たして理は當然にして、眾情・眾見の協はざるや、又た委曲して以て吾が理を行ふ。既に理を貶せず、又た人を駭かさず。此れを之れ理術と謂ふ。噫、惟だ聖人のみ之を能くす。獵較の類是れなり。
現代語訳
君子が事に処するとき、確かな見通しがあっても、すぐには行いません。さらに大勢の見方を確かめ、大勢の情を察し、理に照らして合い、大勢の情と見方にも照らして合えば、断じて必ず行います。もし理としては当然なのに、大勢の情と見方が合わなければ、回り道をして自分の理を行います。理を曲げず、しかも人を驚かせない。これを理の術と言います。ああ、聖人だけがこれをなせます。孔子が魯で狩りの獲物を競う習俗に従ったのが、その類です。
解説
正しさと合意の両方を満たす方法を説きます。理に合い、人心にも合えば即実行。人心が合わなければ、理は曲げずに回り道をする。この二段構えを理術と呼びます。孔子が土地の習俗に従った例が添えられており、原則を守ったまま形を譲るという高度な技が示されています。前に出てきた、専欲は成らないという段の解決策です。
この章句が説くこと
理合意迂回理術両立
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