言志四録 / 言志録 第二百四十三条 天定の数は移動す能はず
天定之數。不能移動。故人生徃徃負其所期望。而趨其所不期望。吾人試反顧過去履歴可知。
新字:天定之数。不能移動。故人生往往負其所期望。而趨其所不期望。吾人試反顧過去履歴可知。
書き下し
天定の数は、移動する能はず。故に人生は往往にして其の期望する所に負きて、其の期望せざる所に趨く。吾人試みに過去の履歴を反顧せば知るべし。
現代語訳
天が定めた巡り合わせは、動かすことができない。だから人生はしばしば、望んでいたことに背き、望んでいなかった方へと向かっていく。私たちが試しに自分の過去の経歴を振り返ってみれば、それがわかるだろう。
解説
この条から一斎は「数」、つまり天の定めた巡り合わせを続けて論じます。『言志録』巻頭の「傀儡の戯」の条とも呼応するテーマです。望んだとおりに運ばず、思いもしなかった道に進むのが人生だ、と一斎は言い、それを自分の来し方で確かめてみよと促します。一斎自身、若くして藩を離れ、林家に入り、やがて昌平坂学問所の儒官となるまで、計画どおりの人生ではなかったはずです。これは諦めの勧めではありません。思いどおりにならないことを前提にしておけば、予想外の展開にも落ち着いて向き合えます。自分のキャリアを振り返り、偶然が何をもたらしたかを数えてみるのも一つの手でしょう。
この章句が説くこと
数天命運命人生内省
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尚書・康誥惟れ命は常には于いてせず。
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