言志四録 / 言志録 第二百二十九条 先務を急にし賢を親しむ
孟子以急先務急親賢爲堯舜之仁智。試檢二典。並皆前半截是急先務。後半截是急親賢。
新字:孟子以急先務急親賢為堯舜之仁智。試検二典。並皆前半截是急先務。後半截是急親賢。
書き下し
孟子は、先務を急にし、賢を親しむを急にするを以て、堯舜の仁智と為す。試みに二典を検するに、並びに皆前半截は是れ先務を急にし、後半截は是れ賢を親しむを急にす。
現代語訳
孟子は、先にすべき務めを急ぐことと、賢者に親しむことを急ぐことを、堯と舜の智と仁であるとした。試しに『書経』の二典(堯典と舜典)を調べてみると、どちらも前半は先にすべき務めを急いだことが書かれ、後半は賢者に親しむことを急いだことが書かれている。
解説
『孟子』尽心上に「堯舜の知にして物を遍くせざるは、先務を急にすればなり。堯舜の仁にして人を遍く愛せざるは、賢を親しむを急にすればなり」とあります。聖王でさえ全てを知り全員を愛することはできず、何を先にするかを見極め、優れた人を近づけることに力を注いだ、という意味です。一斎はこれを『書経』の堯典・舜典の構成に当てはめ、前半が暦の制定など急務の処理、後半が舜や禹など賢者の登用にあたると読み解きました。経書を別の経書で照らす、儒官らしい読み方です。何から手をつけるかと、誰に任せるか。上に立つ人の仕事がこの二つに尽きるのかを考える手がかりになります。
この章句が説くこと
優先順位人材登用為政仁智経書の読み方
関連する章句
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孟子・告子章句上孟子曰く、「人の身に於けるや、愛する所を兼ぬ。愛する所を兼ぬれば、則ち養う所を兼ぬ。無尺寸の膚も愛せざること無ければ、則ち尺寸の膚も養わざること無きなり。其の善不善を考うる所以の者は、豈に他有らんや。己に於て之を取るのみ。體に貴賤有り、小大有り。小を以て大を害すること無く、賤を以て貴を害すること無かれ。其の小を養う者は小人為り、其の大を養う者は大人為り。今場師有り。其の梧檟(ゴ・カ)を舎てて、其の樲棘(ジ・キョク)を養わば、則ち賤場師と為さん。其の一指を養いて、而も其の肩背を失いて知らざれば、則ち狼疾人と為さん。飲食の人は、則ち人之を賤む。其の小を養いて以て大を失うが為なり。飲食の人も失うこと有る無ければ、則ち口腹豈に適だ尺寸の膚の為のみならんや。」
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孟子・告子章句上孟子曰く、「今、無名の指、屈して信びざる有り。疾痛して事に害あるに非ざるなり。如し能く之を信ばす者有れば、則ち秦楚の路をも遠しとせず。指の人に若かざるが為なり。指の人に若かざるは、則ち之を惡むことを知る。心の人に若かざるは、則ち惡むことを知らず。此を之れ類を知らずと謂うなり。」
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論語・顔淵篇子貢、政を問う。子曰く、「食を足し、兵を足し、民之を信ず。」子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於いて何をか先にせん。」曰く、「兵を去らん。」子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何をか先にせん。」曰く、「食を去らん。古より皆死有り、民信無くんば立たず。」
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史記 伍子胥列伝其の後五年、呉王、斉の景公死して大臣寵を争ひ、新君弱しと聞き、乃ち師を興して北のかた斉を伐つ。伍子胥諫めて曰く、「句踐食に味を重ねず、死を弔ひ疾を問ふは、且に用ゐる所有らんと欲すればなり。此の人死せずんば、必ず呉の患ひと為らん。今呉の越有るは、猶ほ人の腹心の疾有るがごときなり。而るに王越を先にせずして乃ち斉を務むるは、亦た謬らずや」と。呉王聴かず、斉を伐ち、大いに斉の師を艾陵に敗り、遂に鄒・魯の君を威して以て帰る。益々子胥の謀を疏んず。
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『韓非子』功名第二十八人臣の憂は一を得ざるに在り、故に曰く、「右手圓を書き、左手方を書けば、兩つながら成る能わず。」
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孟子・盡心章句上孟子曰く、「知者は知らざること無きなり。當に務むべきを之れ急と為す。仁者は愛せざること無きなり。賢を親しむを急にするを之れ務と為す。堯舜の知にして物に遍からざるは、先務を急にすればなり。堯舜の仁にして人を愛するに遍らざるは、賢を親しむを急にすればなり。三年の喪を能くせずして、緦(シ)・小功を之れ察し、放飯・流歠(セツ)して、齒決すること無きを問う、是を之れ務めを知らずと謂う。」
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