言志四録 / 言志録 第二百十一条 親没して後は吾が身即ち親の身
須知親在時。親身卽吾身。親沒後。吾身即親身。則自不得不以自愛之心愛親。以敬親之心自敬。
新字:須知親在時。親身即吾身。親没後。吾身即親身。則自不得不以自愛之心愛親。以敬親之心自敬。
書き下し
須らく知るべし、親在す時は、親の身は即ち吾が身なり。親没して後は、吾が身は即ち親の身なり。則ち自ら自愛の心を以て親を愛し、親を敬するの心を以て自ら敬せざるを得ず。
現代語訳
次のことを知らなければならない。親が生きている間は、親の身はそのまま自分の身である。親が亡くなった後は、自分の身がそのまま親の身である。そうであれば、おのずと自分を愛する心で親を愛し、親を敬う心で自分自身を敬わずにはいられなくなる。
解説
親と子の身は一つながりであるという見方から、孝の意味を説いた一条です。親が生きているうちは、親の身を自分の身と思って大切にする。親が亡くなった後は、自分の身が親の身そのものであるから、親を敬うように自分を敬う。『孝経』の「身体髪膚、之を父母に受く、敢へて毀傷せざるは孝の始めなり」を、より内面的に言い直したものといえます。ここでは孝が親に尽くす行為にとどまらず、自分自身の身の処し方にまで及んでいます。親から受け継いだ身を粗末にしないことが、そのまま孝になるのです。自分の体や生き方を、受け継いだものとして扱う視点は、無理な働き方を省みるときにも一つの手がかりになります。
この章句が説くこと
孝自愛自敬親子
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