言志四録 / 言志録 第二百四条 乾は易を以て知る
乾以易知。良知也。坤以簡能。良能也。乾坤統於太極。知能一也。
書き下し
乾は易を以て知る、良知なり。坤は簡を以て能くす、良能なり。乾坤は太極に統べらる、知能は一なり。
現代語訳
「乾は易(たやすさ)によって知る」(『易』繋辞伝)とは、良知のことである。「坤は簡(手軽さ)によってよくする」とは、良能のことである。乾と坤は太極に統べられており、知と能とは一つである。
解説
『易』繋辞上伝の「乾は易を以て知り、坤は簡を以て能くす」を、『孟子』尽心上の「良知・良能」と結びつけた一条です。孟子は、学ばずに知るのが良知、慮らずにできるのが良能だと言い、明の王陽明はこの良知を学問の中心に据えました。一斎は、天の働きを表す乾に良知を、地の働きを表す坤に良能を配し、両者がともに太極に統べられる以上、知ることとできることは本来一つだと説きます。陽明の知行合一を易の言葉で裏づけた形であり、朱子学の儒官でありながら陽明学に深く通じた一斎らしい議論です。わかっているのにできない、という悩みを、知と能の分裂として捉え直す手がかりになります。
この章句が説くこと
良知良能知行合一易太極
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