言志四録 / 言志耋録 第十条 良知良能は七篇の要
不慮而知者。天道也。不學而能者。地道也。并天地而成此人。畢竟不能逃之。至孟子始發之。七篇之要在此。
新字:不慮而知者。天道也。不学而能者。地道也。并天地而成此人。畢竟不能逃之。至孟子始発之。七篇之要在此。
書き下し
慮らずして知る者は天道なり。学ばずして能くする者は地道なり。天地を并せて此の人を成す。畢竟之を逃るる能はず。孟子に至りて始めて之を発す。七篇の要此に在り。
現代語訳
考えなくても知っているものは、天の道である。学ばなくてもできるものは、地の道である。天と地を合わせてこの人間ができあがっている。結局、人はこれから逃れることはできない。孟子に至って初めてこのことを明らかにした。『孟子』七篇の要はここにある。
解説
『孟子』尽心上篇の「人の学ばずして能くする所の者は其の良能なり。慮らずして知る所の者は其の良知なり」を踏まえた一条です。一斎は、生まれながらの知(良知)を天の道、生まれながらの能力(良能)を地の道に配し、人はこの天地を併せもった存在だと言います。そして孟子の七篇の要はここにあるとまで述べます。王陽明が「良知」を学問の中心に据えたことを思えば、一斎の関心の所在がよく分かります。人を育てるとき、外から知識を詰め込むことより、その人にすでに具わっている判断力や力をどう引き出すかに目を向けさせてくれる一条です。
この章句が説くこと
良知良能孟子天道人間観
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