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言志四録 / 言志録 第二百一条 君子は順ひて其の正を受く

人罹烖患。禱鬼神以禳之。苟以誠禱。或可以得驗。然猶惑也。凡天來之禍福有數。不可趨避。又不能趨避。鬼神之力。縱能一時禳之。而有數之禍。竟不能免。天必以他禍博之。譬如頭目之疾。移諸腹脊。何益之有。故君子順受其正。

新字:人罹烖患。祷鬼神以禳之。苟以誠祷。或可以得験。然猶惑也。凡天来之禍福有数。不可趨避。又不能趨避。鬼神之力。縦能一時禳之。而有数之禍。竟不能免。天必以他禍博之。譬如頭目之疾。移諸腹脊。何益之有。故君子順受其正。

書き下し

人烖患に罹れば、鬼神に禱りて以て之を禳ふ。苟も誠を以て禱らば、或いは以て験を得べし。然れども猶ほ惑ひなり。凡そ天来の禍福には数有り、趨避すべからず、又趨避すること能はず。鬼神の力、縦ひ能く一時之を禳ふとも、而も数有るの禍は、竟に免るること能はず。天必ず他の禍を以て之に博へん。譬へば頭目の疾を、諸を腹脊に移すが如し。何の益か之有らん。故に君子は順ひて其の正を受く。

現代語訳

人は災難にあうと、鬼神に祈ってこれを払おうとする。もし誠をもって祈れば、あるいは効き目があるかもしれない。しかしそれでもやはり惑いである。およそ天から来る禍福には巡り合わせ(数)があり、避けて逃げるべきではなく、また避けて逃げることもできない。鬼神の力で、たとえ一時これを払うことができても、定まった巡り合わせの禍いは、結局免れることはできない。天は必ず別の禍いでこれと取り替えるだろう。たとえば頭や目の病気を腹や背中に移すようなもので、何の益があろうか。だから君子は、素直にその正しい命を受け入れるのである(『孟子』尽心上「順ひて其の正を受く」)。

解説

災難を祈祷で払おうとする人々に対し、一斎はそれを惑いだと言います。誠をもって祈れば効き目があるかもしれないと一応認めながら、定まった禍いは形を変えて必ずやって来る、頭の病を腹に移すようなものだと退けるのです。結びの「順ひて其の正を受く」は『孟子』尽心上の言葉で、天命を素直に受けとめ、正しい道を尽くして生きることを指します。前条と同じく「数」の思想がここでも働いています。避けられない困難を小手先でかわそうとすると、別の形で問題が噴き出すことは組織でもよくあります。目の前の難局を正面から受けとめるべき場面を見きわめる材料になる一条です。

この章句が説くこと

天命数禍福受容迷信

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