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言志四録 / 言志録 第百七十五条 世に小人有るも亦理なり

世有小人亦理也。小人可小知。不賢者識其小者。是亦天地間不可無是人。或謂堯舜之民比屋可封。則過甚。但唐虞之世。雖有小人。皞皞。各安其分而已。

書き下し

世に小人有るも亦理なり。小人は小知すべし。不賢者は其の小なる者を識る。是れ亦天地間に是の人無かるべからず。或は謂ふ、「堯舜の民は屋を比べて封ずべし」と。則ち過甚なり。但だ唐虞の世は、小人有りと雖も、皞皞として各其の分に安んずるのみ。

現代語訳

世の中に小人(器の小さい人)がいるのも、また道理である。(論語に言うように)小人は小さな事なら任せて知ることができるし、(また)賢くない者でも小さな事柄はよく知っている。このような人もまた、天地の間になくてはならない存在である。ある人は「堯や舜の時代の民は、どの家の者も諸侯に封じてよいほど立派だった」と言うが、それは言い過ぎである。ただ堯・舜の治めた世では、小人がいても、みなのびのびと満ち足りて、それぞれ自分の分に安んじていたというだけのことである。

解説

世に小人がいることを、道理の一つとして受け入れた一条です。論語衛霊公篇の「小人は大受すべからずして小知すべし」、子張篇の「不賢者は其の小なる者を識る」を引き、大きな事を任せられない人でも、小さな事には通じており、世の中にはそうした人も欠かせないと言います。理想の世とされる堯舜の時代にも小人はいたが、各人がのびのびと自分の分に安んじていたから治まっていたのだ、という見方です。すべての人を聖人君子にしようとするのではなく、それぞれの持ち場で力を発揮させることが治世の要だということでしょう。組織もまた、多様な器量の人が各自の分で満ち足りて働けるかどうかにかかっています。

この章句が説くこと

小人適材適所分為政人材

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