言志四録 / 言志録 第百七十三条 文治は創業、武備は守成
吾觀古今人主。志存文治者必創業。不忘武備者能守成。
新字:吾観古今人主。志存文治者必創業。不忘武備者能守成。
書き下し
吾古今の人主を観るに、志文治に存する者は必ず創業し、武備を忘れざる者は能く守成す。
現代語訳
私が古今の君主を観察するに、志が文による治世にある者は必ず国家の基礎を創り上げ、武備を忘れない者はよくその国を守り保つ。
解説
創業と守成について、一般の見方をひっくり返すような一条です。ふつう創業は武力で国を取ることであり、守成は文治で国を治めることだと考えられます。しかし一斎は、創業を成し遂げる君主は、戦いの最中にもすでに文治、すなわち法や制度や教化による治世を志しており、国を守り続ける君主は、平和の中にあっても武備を忘れない、と言います。つまり、創業期には次の段階を、安定期には危機を見据えることが要るということです。唐の太宗が創業と守成の難易を問うた『貞観政要』の話も思い起こされます。事業を始める人も受け継ぐ人も、今の段階にない視点を持てているかを問い直させる言葉です。
この章句が説くこと
創業守成文治武備為政
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