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言志四録 / 言志晩録 第百二十八条 創業の中に守成有り

創業守成之稱。泛言開國繼世耳。其實則創業中有守成。守成中有創業。唯能守成。是以創業。唯能創業。是以守成。如成湯之纘禹舊服。玆率厥典。武王之反商政。政由舊。是創業之守成也。如成王之立政立事。畢公之道有升降。政由俗革。則謂之守成之創業。可也。但氣運有常變。故人與物亦從之。

新字:創業守成之称。泛言開国継世耳。其実則創業中有守成。守成中有創業。唯能守成。是以創業。唯能創業。是以守成。如成湯之纘禹旧服。玆率厥典。武王之反商政。政由旧。是創業之守成也。如成王之立政立事。畢公之道有升降。政由俗革。則謂之守成之創業。可也。但気運有常変。故人与物亦従之。

書き下し

創業守成の称は、泛く開国継世を言ふのみ。其の実は則ち創業の中に守成有り、守成の中に創業有り。唯だ能く守成す、是を以て創業す。唯だ能く創業す、是を以て守成す。成湯の禹の旧服を纘ぎ、玆に厥の典に率ひ、武王の商政を反し、政旧に由るが如きは、是れ創業の守成なり。成王の立政立事、畢公の道に升降有り、政俗に由りて革まるが如きは、則ち之を守成の創業と謂ひて可なり。但だ気運に常変有り。故に人と物も亦之に従ふ。

現代語訳

創業と守成という呼び名は、大まかに国を開くことと世を継ぐことを言っているにすぎない。その実際は、創業の中に守成があり、守成の中に創業がある。よく守成できるからこそ創業ができ、よく創業できるからこそ守成ができるのである。殷の湯王が禹の旧来の事業を受け継いでその法典に従い、周の武王が殷(商)の悪政を改めて政治を古いよき制度に戻したようなことは、創業における守成である。周の成王が官職を立て政務を定め、畢公に対して「道には盛衰があり、政治は風俗に応じて改まる」と命じたようなことは、守成における創業と言ってよい。ただ気運には常と変とがあるので、人も物事もまたそれに従って移り変わる。

解説

「創業は易く守成は難し」という唐の太宗の問答で知られる二つの語を、一斎は切り離さずに捉え直します。創業の中にも受け継ぐべきものを守る面があり、守成の中にも時に応じて改める面がある。例に引かれるのはいずれも『書経』で、湯王や武王は新しい王朝を開きながら古い善政を受け継ぎ、成王や畢公は既成の体制を守りながら風俗に応じて政治を改めました。末尾で前条の気運の常変に結びつけ、時勢に応じて両者の比重が変わると述べています。新規事業を立ち上げる人にも既存事業を預かる人にも、自分の仕事が守ることと変えることの両面を含んでいるかを問い直す視点を与える一条です。

この章句が説くこと

創業守成継承と革新為政気運

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