言志四録 / 言志録 第百十八条 古今第一等の人物を期す
欲爲世間第一等人物。其志不小矣。余則以爲猶小也。世間生民雖衆而數有限。玆事恐非難濟。如前古已死之人。則幾萬倍於今。其中聖人賢人英雄豪傑。不可勝數。我今日未死。則似稍出頭人。而明日即死。輙忽入於古人錄中。於是。以我所爲。校諸古人。無足比數者。則可愧矣。故有志者。要當以古今第一等人物自期焉。
新字:欲為世間第一等人物。其志不小矣。余則以為猶小也。世間生民雖衆而数有限。玆事恐非難済。如前古已死之人。則幾万倍於今。其中聖人賢人英雄豪傑。不可勝数。我今日未死。則似稍出頭人。而明日即死。輙忽入於古人録中。於是。以我所為。校諸古人。無足比数者。則可愧矣。故有志者。要当以古今第一等人物自期焉。
書き下し
世間第一等の人物と為らんと欲す。其の志小ならず。余は則ち以為へらく、猶ほ小なりと。世間の生民衆しと雖も数に限り有り。玆の事恐らくは済し難きに非ず。前古已に死せるの人の如きは、則ち今に幾万倍す。其の中の聖人賢人英雄豪傑、勝げて数ふべからず。我今日未だ死せざれば、則ち稍出頭の人に似たるも、明日即ち死すれば、輒ち忽ち古人の録中に入る。是に於て、我の為す所を以て、諸を古人に校ぶるに、比数するに足る者無ければ、則ち愧づべし。故に志有る者は、要ず当に古今第一等の人物を以て自ら期すべし。
現代語訳
世の中で第一等の人物になりたいと願う。その志は決して小さくはない。しかし私は、それでもまだ小さいと思う。世の中の人は多いといっても、その数には限りがある。そこで第一等になるのは、おそらくそれほど難しいことではない。昔すでに死んだ人となれば、今生きている人の幾万倍もいる。その中には聖人・賢人・英雄・豪傑が数えきれないほどいる。自分が今日まだ死んでいないうちは、少しは頭角を現した人のように見えても、明日死んでしまえば、たちまち古人の記録の中に入ってしまう。そのとき、自分の成し遂げたことを古人と比べてみて、肩を並べるに足るものがなければ、恥ずかしいことである。だから志ある者は、必ず古今を通じて第一等の人物になることを自らに期すべきである。
解説
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