言志四録 / 言志録 第百条 人倫は社稷より重し
人君以社稷爲重。而人倫殊重於社稷。社稷可棄。人倫不可棄。
新字:人君以社稷為重。而人倫殊重於社稷。社稷可棄。人倫不可棄。
書き下し
人君は社稷を以て重しと為す。而して人倫は殊に社稷より重し。社稷は棄つべし。人倫は棄つべからず。
現代語訳
君主は社稷(国家)を重んじるものである。しかし人倫(人として守るべき道)は、国家よりもさらに重い。国家は捨てることがあってもよいが、人倫は捨ててはならない。
解説
国家よりも人倫が重いと言い切った、大胆な一条です。社稷とは土地の神と五穀の神で、転じて国家そのものを指します。孟子は「民を貴しと為し、社稷之に次ぎ、君を軽しと為す」と述べましたが、一斎はさらに、国は失っても人の道は失ってはならないと言います。舜が天子の位を捨てても父を背負って逃げたであろうという孟子の問答が、背景にあると考えられます。国家や組織を守るためなら何をしてもよい、という考えに歯止めをかける言葉です。次条では、この原則に対する反論に答えています。組織の存続と人としての筋が衝突したとき、何を守るべきかを考える手がかりになります。
この章句が説くこと
人倫社稷為政倫理孟子
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