言志四録 / 言志録 第四十六条 土地人民は天物なり
土地人民。天物也。承而養之。使物各得其所。是君職也。人君或謬謂土地人民皆我物也。而暴之。此之謂君偷天物。
新字:土地人民。天物也。承而養之。使物各得其所。是君職也。人君或謬謂土地人民皆我物也。而暴之。此之謂君偸天物。
書き下し
土地人民は、天物なり。承けて之を養ひ、物をして各其の所を得しむるは、是れ君の職なり。人君或は謬りて土地人民は皆我が物なりと謂ひて、之を暴ふ。此れを之れ君、天物を偸むと謂ふ。
現代語訳
土地と人民は、天から預かったものである。それを受け継いで養い育て、あらゆるものにそれぞれふさわしい所を得させるのが、君主の職務である。ところが君主の中には、土地も人民もみな自分の所有物だと誤って考え、これを損ない虐げる者がいる。これを、君主が天の物を盗むというのである。
解説
この条から数条、一斎は君主と臣下のあり方を続けて論じます。ここでの要は、土地も人民も君主の私有物ではなく「天物」、すなわち天からの預かりものだという考え方です。君主の仕事は、それを受け継いで養い、一人ひとり、一つひとつがふさわしい場所を得るように整えることにあります。それを自分の物と取り違えて好き勝手に扱えば、それは統治ではなく、天の物を盗むことだと一斎は言い切ります。大名に仕える儒者として書いた言葉としては、かなり強い表現です。会社も部署も、そこで働く人も、経営者や管理職の持ち物ではなく預かりものだと考えたとき、自分の権限の使い方がどう見えてくるかを問いかける一条です。
この章句が説くこと
為政天物君職受託責任適材適所
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