言志四録 / 言志録 第八十九条 後世の毀誉を懼る
當今之毀譽不足懼。後世之毀譽可懼。一身之得喪不足慮。子孫之得喪可慮。
新字:当今之毀誉不足懼。後世之毀誉可懼。一身之得喪不足慮。子孫之得喪可慮。
書き下し
当今の毀誉は懼るるに足らず。後世の毀誉は懼るべし。一身の得喪は慮るに足らず。子孫の得喪は慮るべし。
現代語訳
今の世の悪口や称賛は恐れるに足りない。後の世の悪口や称賛こそ恐れるべきである。自分一身の得失は気にかけるに足りない。子孫の得失こそ気にかけるべきである。
解説
毀誉と得喪という、一斎が繰り返し取り上げる主題を、時間の長さで測り直した一条です。いまの評判は流行や利害に左右されて移ろいますが、後世の評価は時を経て定まるため、ごまかしがききません。同じように、自分一代の損得より、その行いが子孫に何を残すかのほうが重いと言います。「毀誉得喪は人生の雲霧」と説いた条と合わせて読むと、一斎が評価そのものを否定したのではなく、目を向けるべき時間の尺度を変えよと言っていることがわかります。四半期の数字と十年後の組織の姿、どちらを基準に判断しているのか、意思決定を担う人が自らに問う手がかりになります。
この章句が説くこと
毀誉得喪後世長期的視点子孫
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