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言志四録 / 言志録 第八十四条 下情と下事

下情與下事不同。君人者。下情不可不通。下事則不必通。

新字:下情与下事不同。君人者。下情不可不通。下事則不必通。

書き下し

下情と下事とは同じからず。人に君たる者は、下情には通ぜざるべからず。下事には則ち必ずしも通ぜず。

現代語訳

下々の人々の心情と、下々の細かな仕事とは同じではない。人の上に立つ者は、下の者の心情には通じていなければならない。しかし下の者が扱う細かな仕事にまで必ずしも通じている必要はない。

解説

「下情」と「下事」を分けた、指導者論として鋭い一条です。下情とは、民や部下がいま何を感じ、何に困っているかという実情。下事とは、現場の一つひとつの作業や手続きです。上に立つ者が下事にまで口を出せば、部下の持ち場を奪い、自らは大局を見失います。しかし下情に疎ければ、政は人の心から離れていきます。一斎は、知るべきものと任せるべきものの線引きを求めているのです。細部を把握していることを有能さと取り違えやすいリーダーにとって、自分は部下の仕事を知っているのか、それとも部下の心を知っているのかを問い直す手がかりになります。

この章句が説くこと

為政下情委任リーダーシップ人心

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