言志四録 / 言志録 第六十六条 小利に動かざるは難し
辭爵祿。易。不爲小利動。難。
新字:辞爵禄。易。不為小利動。難。
書き下し
爵禄を辞するは、易し。小利の為に動かざるは、難し。
現代語訳
爵位や俸禄を辞退するのはやさしい。小さな利益に心を動かされないのは難しい。
解説
逆説めいた言い方で、人の心の弱さを突いた一条です。高い地位や大きな俸禄を辞退するのは、一見とても難しい潔い行いに見えます。しかし大きな事ほど人の目があり、名誉も伴うので、かえって決心しやすい面があります。むしろ難しいのは、日々のささいな利益に心が揺れないことだと一斎は言います。ちょっとした便宜、少しの得、見返り。誰も見ていない小さな場面で動かされずにいることこそ、本当の清廉が試されるところだというのです。一斎が別の条で説く、人に示すためではなく天に仕える心で事をなすという考えとも通じています。大きな決断よりも日常の小さな選択の積み重ねに、その人の本当の姿が出ることを思わせる言葉です。
この章句が説くこと
清廉利欲克己慎独
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