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言志四録 / 言志録 第六十五条 才の畏るべき

古今爲姦惡之小人。皆才過人。若商辛最是非常才子。雖有微箕比干諸賢且親。不能格其心。又不能易其位。終以斃其身而殄其世。是才之可畏也。

新字:古今為姦悪之小人。皆才過人。若商辛最是非常才子。雖有微箕比干諸賢且親。不能格其心。又不能易其位。終以斃其身而殄其世。是才之可畏也。

書き下し

古今姦悪を為すの小人は、皆才人に過ぐ。商辛の若きは最も是れ非常の才子なり。微・箕・比干の諸賢にして且つ親なる有りと雖も、其の心を格すこと能はず、又其の位を易ふること能はず。終に以て其の身を斃して其の世を殄す。是れ才の畏るべきなり。

現代語訳

昔から今まで、悪事をはたらく小人は、みな才能が人並み以上である。殷の紂王(商辛)などは、まさに並外れた才人であった。微子・箕子・比干という賢人で、しかも身内でもある人々がそばにいたにもかかわらず、紂王の心を正すことができず、またその位を替えることもできなかった。ついに紂王は自らの身を滅ぼし、殷の世を絶やしてしまった。これこそ才能の恐ろしいところである。

解説

前条の「才は剣のごとし」を、歴史の実例で示した一条です。殷の最後の王、紂王(商辛)は、史記によれば弁舌に優れ、力も強い非常な才人でしたが、暴政によって国を滅ぼしました。そばには微子・箕子・比干という、論語で「殷に三仁有り」と称えられた賢人で、しかも王族の親族がいましたが、誰も紂王の心を正すことも、退位させることもできませんでした。才があるからこそ諫めを言い負かし、自分の非を認めなかったのです。一斎が言う「才の畏るべき」とは、才能が善い助言を退ける力にもなってしまうことです。優秀なリーダーほど周りの諫言を聞き入れにくくなる危うさを、自分や組織に照らして考えてみたくなる一条です。

この章句が説くこと

才能諫言驕り才と徳歴史の教訓

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