言志四録 / 言志録 第五十条 財成輔相は耕作に似たり
五穀自生。假耒耜以助之。人君財成輔相。亦與此似。
新字:五穀自生。仮耒耜以助之。人君財成輔相。亦与此似。
書き下し
五穀は自ら生ず。耒耜を仮りて以て之を助く。人君の財成輔相も、亦此れと似たり。
現代語訳
五穀はおのずから生えて育つ。人はすきやくわを使って、その生長を助けるだけである。君主が天地の道を裁ち整え、その宜しきを助けるというのも、これと似ている。
解説
「財成輔相」は易の泰卦の象伝にある「天地の道を財成し、天地の宜しきを輔相して、以て民を左右す」に基づく語で、天地の働きをほどよく裁ち整え、助けて、民を支えることを言います。一斎はそれを農耕にたとえます。穀物を育てる力は種そのものにあり、農夫はすきやくわで土を整え、育つのを助けるだけです。同じように、世の中を動かす力はもともと人々や物事の中にあり、為政者の役目はそれを押しつけて作り出すことではなく、伸びるように手を添えることだというのです。人を育てる、組織を伸ばすというとき、自分が何かを生み出していると思うのか、育つ力を助けていると考えるのかで、関わり方は大きく変わってきます。
この章句が説くこと
為政財成輔相育成易自然の力
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