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言志四録 / 言志録 第百七十一条 天道の至教

吾俯仰而觀察之。日月。昭然揭明。星辰。燦然列文。春風。和燠宣化。雨露。膏澤洽物。霜雪。氣凛然肅。雷霆。威赫然震。山嶽。安靜不遷。河海。弘量能納。谿壑。深不可測。原野。廣無所隱。而元氣生生不息。斡旋於其間。凡此皆天地一大政事。所謂天道至敎。風雨霜露無非敎者。人君最宜體此。

新字:吾俯仰而観察之。日月。昭然掲明。星辰。燦然列文。春風。和燠宣化。雨露。膏沢洽物。霜雪。気凛然粛。雷霆。威赫然震。山嶽。安静不遷。河海。弘量能納。谿壑。深不可測。原野。広無所隠。而元気生生不息。斡旋於其間。凡此皆天地一大政事。所謂天道至教。風雨霜露無非教者。人君最宜体此。

書き下し

吾俯仰して之を観察するに、日月は昭然として明を掲げ、星辰は燦然として文を列ね、春風は和燠にして化を宣べ、雨露は膏沢にして物を洽し、霜雪は気凛然として粛み、雷霆は威赫然として震ひ、山嶽は安静にして遷らず、河海は弘量にして能く納れ、谿壑は深くして測るべからず、原野は広くして隠す所無し。而して元気は生生として息まず、其の間に斡旋す。凡そ此れ皆天地の一大政事にして、所謂天道の至教なり。「風雨霜露も教に非ざる無し」。人君最も宜しく此を体すべし。

現代語訳

私が天を仰ぎ地を見下ろして観察すると、太陽と月ははっきりと明るさを掲げ、星々はきらきらと文様を連ね、春風はなごやかで暖かく万物を育て、雨露はうるおいを与えて物をあまねく潤し、霜や雪は気が凛として引き締まり、雷はその威勢が激しく鳴り響き、山々は安らかで静かに動かず、川や海は大きな度量で何でも受け入れ、谷は深くて測り知れず、野原は広くて何も隠すところがない。そして根源の気が絶えず生み出し続けて、その間をめぐっている。これらはみな天地の一大政治であり、いわゆる天道の最上の教えである。(礼記に言う)「風も雨も霜も露も、教えでないものはない」。君主はとりわけこれを身に体するべきである。

解説

天地の諸相を連ねて、政治の手本を示した一条です。日月の明、星の秩序、春風の和やかさ、雨露の恵み、霜雪の厳しさ、雷の威、山の不動、海の包容、谷の深さ、野の公明。それぞれが為政者の備えるべき徳の比喩になっています。そしてその間を元気が絶えずめぐり、万物を生み出し続ける。一斎はこれを「天地の一大政事」と呼び、礼記孔子閒居篇の「風雨霜露、教に非ざる無し」を引いて、天は言葉なくして最上の教えを示していると言います。言志録の冒頭に「太上は天を師とす」とあったことにもつながります。人を率いる者に求められる恵みと厳しさ、包容と公明を、自然の姿から考えさせる一条です。

この章句が説くこと

天道為政君徳自然包容

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