言志四録 / 言志録 第四十七条 君臣は市道にあらず
君之於臣。擧賢使能。與治天職。與食天祿。元首股肱。合成一體。此之謂義。人君若徒謂我出祿俸以畜人。人將報以赴驅使而已。則與市道何以異。
新字:君之於臣。挙賢使能。与治天職。与食天禄。元首股肱。合成一体。此之謂義。人君若徒謂我出禄俸以畜人。人将報以赴駆使而已。則与市道何以異。
書き下し
君の臣に於ける、賢を挙げ能を使ひ、与に天職を治め、与に天禄を食む。元首股肱、合して一体を成す。此れを之れ義と謂ふ。人君若し徒に我禄俸を出して以て人を畜ふと謂はば、人も将に報ゆるに駆使に赴くを以てするのみならんとす。則ち市道と何を以て異ならん。
現代語訳
君主が臣下に対するあり方は、賢い者を登用し有能な者を用い、ともに天から授かった職務を治め、ともに天から授かった禄を食むことにある。頭である君主と手足である臣下が合わさって一体となる、これを義という。君主がもし、ただ自分が俸禄を出して人を養っているのだと考えるなら、人もまた命じられるままに働くことで報いるだけになるだろう。それでは商売の取引と何の違いがあろうか。
解説
前条の「天物」の考えを、君臣関係に当てはめた一条です。職務も俸禄も君主が与えるものではなく、ともに天から授かった「天職」「天禄」であり、君主と臣下は頭と手足のように一体となってそれを担う。その結びつきを一斎は「義」と呼びます。「天職」の語は孟子の「与に天職を治め、与に天禄を食む」に基づきます。これに対し、給料を払って人を飼っているという発想に立てば、相手も言われたことをこなすだけで報いるようになり、関係は「市道」、つまり損得で結ばれた商取引と変わらなくなります。雇用という契約の上で、それでも人がお金以上の力を出すのはどんなときか。組織を率いる人が自分の言葉づかいや態度を振り返る手がかりになるでしょう。
この章句が説くこと
君臣義天職組織の一体感報酬と動機
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