言志四録 / 言志録 第三十六条 人の言は容れて択ぶ
人言。須容而擇之。不可拒。又不可惑。
新字:人言。須容而択之。不可拒。又不可惑。
書き下し
人の言は、須らく容れて之を択ぶべし。拒む可からず。又惑ふ可からず。
現代語訳
他人の言葉は、ひとまず受け容れたうえで取捨選択しなければならない。はねつけてはならず、また惑わされてもならない。
解説
前条の「物を容るるにも明暗有り」を、人の意見の聞き方に当てはめた条です。人の言葉は、まず受け容れる。しかしそのまま鵜呑みにするのではなく、選び取る。拒んでもいけないし、惑わされてもいけない、と一斎は言います。耳の痛い意見をはねつければ、自分の視野は狭まります。一方、あらゆる意見に振り回されれば、判断の軸を失います。「容れる」と「択ぶ」の二段構えが、明るい寛容の具体的な姿です。会議で異論が出たとき、反射的に退けていないか、逆に声の大きな意見に流されていないか。意見を聞く側の姿勢を点検する手がかりになる一条です。
この章句が説くこと
傾聴取捨選択寛容判断意見
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