言志四録 / 言志録 第三十五条 物を容るるにも明暗有り
容物。美德也。然亦有明暗。
新字:容物。美徳也。然亦有明暗。
書き下し
物を容るるは美徳なり。然れども亦明暗有り。
現代語訳
人や物事を受け容れる度量は美徳である。しかしそれにも、道理に明るい受け容れ方と、道理に暗い受け容れ方とがある。
解説
寛容という美徳にも質の違いがあると指摘した短い条です。人や物事を広く受け容れる度量は、確かに美徳です。しかし一斎は、それにも「明暗」があると言います。明るい寛容とは、善悪をよく見分けたうえで包み込むもの。暗い寛容とは、是非を見分けないまま何でも受け入れてしまうもので、それは寛容ではなく単なる無分別や甘さです。この条から、人の言をどう容れるか、容れる者だけが人を責められるか、と続く数条が始まります。何でも受け入れる上司が、実は判断を放棄しているだけではないか。受容と判断をどう両立させるかを考える入口になる言葉です。
この章句が説くこと
寛容度量明察判断包容力
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