鬼谷子 / 権篇
是故與智者言、將此以明之、與不智者言、將此以教之、而甚難爲也。故言多類、事多變、故終日言、不失其類、故事不亂。終日不變、而不失其主、故智貴不妄。聽貴聰、智貴明、辭貴竒。
新字:是故与智者言、将此以明之、与不智者言、将此以教之、而甚難為也。故言多類、事多変、故終日言、不失其類、故事不乱。終日不変、而不失其主、故智貴不妄。聴貴聰、智貴明、辞貴奇。
書き下し
是の故に智者と言うには、此を將て以て之を明らかにし、不智者と言うには、此を將て以て之を教う。而して甚だ爲し難きなり。故に言に類多く、事に變多し。故に終日言いて、其の類を失わざれば、故に事亂れず。終日變ぜずして、其の主を失わざれば、故に智は妄ならざるを貴ぶ。聽くは聰きを貴び、智は明らかなるを貴び、辭は竒なるを貴ぶ。
現代語訳
だから知者と語るときは、これをもって明らかにし、知者でない者と語るときは、これをもって教える。しかしそれはたいそう行いがたい。だから言葉には種類が多く、事には変化が多い。だから一日じゅう語っても、その種類を取り違えなければ、事は乱れない。一日じゅう変わり続けても、その主を失わなければ、知恵はでたらめにならない。聴くことは聡いことを貴び、知恵は明らかであることを貴び、言葉は奇であることを貴ぶ。
解説
権篇の結びに、三つの「貴ぶ」が置かれます。聴くことは聡さ、知恵は明るさ、言葉は奇。最後の「辭は竒なるを貴ぶ」が縦横家らしい。言葉は意外であることに価値がある、と。ただしその前に条件が二つ置かれています。一日じゅう語っても種類を取り違えない、一日じゅう変わっても主を失わない。取り違えず、主を失わない範囲でのみ、奇であることが効く。土台なしに意外なことを言えば、ただの奇矯です。この順序を踏まえずに「辞は奇を貴ぶ」だけを取り出すと、この書が批判されてきたとおりのものになります。
この章句が説くこと
聴くは聡きを貴び智は明らかなるを貴ぶ其の主を失わず判断傾聴言葉本質
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