言志四録 / 言志録 第六条 学は立志より要なるは莫し
學莫要於立志。而立志亦非强之。只從本心所好而已。
新字:学莫要於立志。而立志亦非強之。只従本心所好而已。
書き下し
学は志を立つるより要なるは莫し。而して志を立つるも亦之を強ふるに非ず。只本心の好む所に従ふのみ。
現代語訳
学問において、志を立てること以上に大切なものはない。しかし志を立てるといっても、無理に強いるものではない。ただ本心が好むところに従うだけである。
解説
『言志四録』を貫く主題の一つ「立志」を正面から述べた条です。学問で最も大切なのは志を立てることだが、それは歯を食いしばって自分に課すものではなく、本心が好むところに素直に従うことだと一斎は言います。ここでいう本心は、陽明学の良知にも通じる、人が生まれながらに持つ善を好む心です。外から押しつけた目標は長続きしませんが、心の底から求めるものは自然と持続します。志を「強いる」ものではなく「見つける」ものとしている点に、一斎の人間理解の深さがあります。目標設定に行き詰まったとき、本当は何をしたいのかを問う出発点になる言葉です。
この章句が説くこと
立志本心学問好む心主体性
関連する章句
-
伝習録・黄省曾録先生曰く、「学問も也(また)点化を要す。但だ自家、解化する者の、自ら一了百当なるに如かず。然らずんば、亦た点化するも許多、得ず」と。
-
言志四録・言志耋録 第十七条 火を乞ふは燧を取るに若かず志学の士は、当に自ら己に頼るべし。人の熱に因ること勿れ。淮南子に曰く、「火を乞ふは燧を取るに若かず。汲を寄するは井を鑿つに若かず」と。己に頼るを謂ふなり。
-
歎異抄・第十二条経釈を読み学せざる輩、往生不定の由のこと。この条、すこぶる不足言の義と言いつべし。 他力真実の旨を明かせる諸の聖教は、本願を信じ念仏を申さば仏に成る、そのほか何の学問かは往生の要なるべきや。 まことにこの理に迷えらん人は、いかにもいかにも学問して、本願の旨を知るべきなり。 経釈を読み学すといえども、聖教の本意を心得ざる条、もっとも不便のことなり。
-
論語・為政篇子曰く、異端を攻むるは、斯れ害のみ。
-
言志四録・南洲手抄朝にして食はずば、昼にして饑う。少うして学ばずば、壮にして惑ふ。饑うるは猶忍ぶ可し、惑ふは奈何ともす可からず。
-
言志四録・南洲手抄学之を古訓に稽へ、問之を師友に質すは、人皆之を知る。学必ず之を躬に学び、問必ず諸を心に問ふは、其れ幾人有らんか。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る