学則 / 對西肥水秀才問
不佞謂。孔門四科。亦有長政事者焉。有善文學者焉。人之材。豈與後世殊哉。各以性異。是正所謂成德達材者。而其學。一在詩書禮樂是其與後世殊也。蓋古之學者。皆以禮樂成其德。均之君子人也。而其政事文章。皆繇詩書出。所以不悖聖人之道也。
新字:不佞謂。孔門四科。亦有長政事者焉。有善文学者焉。人之材。豈与後世殊哉。各以性異。是正所謂成徳達材者。而其学。一在詩書礼楽是其与後世殊也。蓋古之学者。皆以礼楽成其徳。均之君子人也。而其政事文章。皆繇詩書出。所以不悖聖人之道也。
書き下し
不佞謂へらく、孔門の四科にも、亦た政事に長ずる者有り、文学を善くする者有り。人の材は、豈に後世と殊ならんや。各〻性を以て異なる。是れ正に所謂徳を成し材を達する者なり。而して其の学は、一に詩・書・礼・楽に在り。是れ其の後世と殊なる所なり。蓋し古の学者は、皆礼楽を以て其の徳を成し、之を均しくするに君子人なり。而して其の政事・文章は、皆詩書より出づ。聖人の道に悖らざる所以なり。
現代語訳
私はこう考える。孔子門下の四科にも、政治に長じた者がおり、文学に優れた者がいた。人の才能が後世と違うはずがあろうか。それぞれ生まれつきの性によって異なるのである。これこそいわゆる「徳を成し、才を伸ばす」ということである。ただその学問がもっぱら『詩』『書』と礼・楽にあった、それが後世と違う点である。思うに古の学ぶ者は、みな礼楽によって徳を成し、いずれも等しく君子であった。そしてその政治も文章も、みな『詩』『書』から出ていた。だから聖人の道に背かなかったのである。
解説
人の才は昔も今も変わらず、生まれつきの性によってさまざまだと徂徠は言う。古と後世を分けるのは才の違いではなく、学ぶものの違いである。古の学者は礼楽で徳を養い、そのうえで政事に向く者は政事に、文章に向く者は文章に進んだが、その根はすべて詩書にあった。だから専門が分かれても聖人の道から外れなかったという。個性を伸ばす達材と、共通の素養を養う成徳を両立させる構図である。専門家が増えるほど、共通の土台となる教養や価値観の大切さが増すのは、今の組織でも変わらない。
この章句が説くこと
四科人材礼楽詩書君子成徳達材
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