易経 / 渙卦
初六之吉,順也。 渙奔其机,得愿也。 渙其躬,志在外也。 渙其群,元吉;光大也。 王居无咎,正位也。 渙其血,遠害也。
書き下し
初六の吉は、順なればなり。渙るるとき其の机に奔るとは、願ひを得るなり。其の躬を渙らすとは、志外に在るなり。其の群を渙らす、元吉とは、光大なるなり。王居りて咎无しとは、正位なればなり。其の血を渙らすとは、害に遠ざかるなり。
現代語訳
初六が吉なのは、素直に従うからである。人心が散るとき頼りとなる台のもとへ走るとは、願いを得るのである。自分の身へのこだわりを散らすとは、志が自分の外にあるのである。自分の仲間の群れを散らして大いに吉とは、その徳が大いに輝くのである。王が居所に構えて咎がないとは、正しい位にあるからである。傷つく血を散らすとは、害から遠ざかるのである。
解説
渙の爻辞に象伝が理由を添えた部分です。六三が自分へのこだわりを散らすのは「志外に在るなり」、志が自分の外、つまり公のことに向いているからだと説きます。六四が私的な群れを散らして大いに吉なのは「光大なるなり」、その徳が大きく輝くからです。上九の血を散らすのは「害に遠ざかるなり」、争いの種から身を遠ざけることだと言います。散らすことは失うことではなく、私心を解いてより大きなものに結び直すことです。自分の身内や派閥を守ることに、心が縛られていないか省みたいところです。
この章句が説くこと
私心公派閥結束
関連する章句
-
『韓非子』八姦第九人臣為る者は、公財を散じて以て民人を説ばしめ、小惠を行いて以て百姓を取り、朝廷市井をして皆な己を勸譽せしめ、以て其の主を塞ぎ、而して其の欲する所を成す
-
『韓非子』孤憤第十一是れ當塗者の徒屬、愚にして患を知らざる者に非ずんば、必ず污にして姦を避けざる者なり。
-
『韓非子』愛臣第四黨與衆しと雖も、士卒を臣とするを得ず。故に人臣の國に處るや私朝無く、軍に居るや私交無く、其の府庫は私かに家に貸すを得ず。
-
『韓非子』愛臣第四将相の主を營して、家を隆にするは、此れ人に君たる者の外にするなり。
-
論語・述而篇子の燕居するや、申申如たり、夭夭如たり。
-
『韓非子』姦劫弒臣第十四故に私を以て重人の為にする者衆くして、而して法を以て君に事うる者は少し。是を以て主は上に孤にして、臣は黨を下に成す。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る