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童子問 / 卷下

問。老莊之學。聖門指爲異端。然雖好之。似亦無甚害。曰。老莊之害。徵之於小。則固難見。徵之於大。而後其害章章矣。士庶人之輩好之。則必惡禮法厭拘撿。故至於墜業敗家而止。此其害之小者也。若夫大人好之。則其害及于家國天下。人心日傷。風俗日壞。亂亡尋至。可不懼乎。

新字:問。老荘之学。聖門指為異端。然雖好之。似亦無甚害。曰。老荘之害。徴之於小。則固難見。徴之於大。而後其害章章矣。士庶人之輩好之。則必悪礼法厭拘撿。故至於墜業敗家而止。此其害之小者也。若夫大人好之。則其害及于家国天下。人心日傷。風俗日壊。乱亡尋至。可不懼乎。

書き下し

問ふ、老荘の学、聖門指して異端と為す。然れども之を好むと雖も、亦甚だしき害無きに似たり。曰く、老荘の害は、之を小に徴すれば、則ち固より見難し。之を大に徴して、而る後に其の害章章たり。士庶人の輩之を好めば、則ち必ず礼法を悪み拘検を厭ふ。故に業を墜し家を敗るに至つて止む。此れ其の害の小なる者なり。若し夫れ大人之を好めば、則ち其の害家国天下に及び、人心日に傷れ、風俗日に壊れ、乱亡尋いで至る。懼れざるべけんや。

現代語訳

問う。老荘の学を聖門は異端とする。しかしこれを好んでも、さほどの害はないように思われる。答える。老荘の害は、小さなところで確かめれば、もとより見えにくい。大きなところで確かめてはじめて、その害がはっきりする。士人や庶民がこれを好めば、必ず礼法を嫌い、拘束や規律を厭う。だから家業を落とし家を潰すに至って終わる。これは害の小さなものである。もし上に立つ者がこれを好めば、その害は家・国・天下に及び、人心は日ごとに傷つき、風俗は日ごとに崩れ、乱れと滅亡が続いてやって来る。恐れないでいられようか。

解説

老荘を好んでも大した害はないのではという問いに、仁斎は害の現れ方の違いで答える。個人が好めば礼法や規律を嫌って家業を傾ける程度で済むが、上に立つ者が好めばその害は国と天下に及び、人心と風俗が日ごとに崩れていく。無為自然の思想そのものの魅力を否定するのではなく、それが人倫日用の秩序を担う立場の人に入り込んだときの影響を問題にしているのである。リーダーの考え方は組織全体の空気を左右する。規律や手続きを軽んじる言葉が上から出たとき、その影響は一人の時とは比べものにならないことを心に留めておきたい。

この章句が説くこと

老荘異端礼法風俗リーダー害

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