童子問 / 卷中
問。子路問夫子曰。願聞子之志。子曰。老者安之。少者懷之。朋友信之。先生亦有願乎。曰。人各有願。我豈無願乎。吾願朋友之間。務相推讓。舍己從人。有善則揚之。有過則告之。各盡一視同仁之心。橫渠之於程子。其表叔也。而二程以西銘。與大學書同其尊信。又授之其門人。可爲萬世學者之模範也。
新字:問。子路問夫子曰。願聞子之志。子曰。老者安之。少者懐之。朋友信之。先生亦有願乎。曰。人各有願。我豈無願乎。吾願朋友之間。務相推譲。舎己従人。有善則揚之。有過則告之。各尽一視同仁之心。横渠之於程子。其表叔也。而二程以西銘。与大学書同其尊信。又授之其門人。可為万世学者之模範也。
書き下し
問ふ、子路夫子に問うて曰く、願はくは子の志を聞かんと。子曰く、老者は之を安んじ、少者は之を懐け、朋友は之を信ぜしめんと。先生も亦願ひ有りや。曰く、人各々願ひ有り。我豈に願ひ無からんや。吾は願はくは朋友の間、務めて相推譲し、己を舎てて人に従ひ、善有れば則ち之を揚げ、過ち有れば則ち之を告げ、各々一視同仁の心を尽くさんことを。横渠の程子に於ける、其の表叔なり。而して二程は西銘を以て、大学の書と其の尊信を同じくし、又之を其の門人に授く。万世学者の模範と為すべきなり。
現代語訳
問う。子路が孔子に「先生の志をお聞きしたい」と問うたとき、孔子は「老人には安心してもらい、若者には慕われ、友人には信頼されたい」と答えた。先生にもまた願いがあるか。答えていう。人にはそれぞれ願いがある。私にどうして願いがないことがあろう。私の願いは、朋友のあいだで努めて互いに譲り合い、自分を捨てて人に従い、善があればそれを称揚し、過ちがあればそれを告げ、それぞれが分け隔てなく同じように思いやる心を尽くすことである。張横渠は程子たちにとって表叔(父方の従兄弟にあたる親戚)であった。そして二程は横渠の『西銘』を、『大学』と同じように尊び信じ、またそれを自分の門人に授けた。これは万世の学者の模範とすべきである。
解説
この章句が説くこと
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論語・里仁篇子曰わく、いやしくも仁に志せば、悪しきこと無し。
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『呻吟語』外篇・聖賢・仁天下を覆ふの具は我に在り孔顏の窮居は、其の仁天下を覆ふと為るを害せず。何となれば、仁天下を覆ふの具は我に在り、而して仁天下を覆ふの心は未だ嘗て一日も忘れざればなり。
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『慎思録』巻之一学を為すの道は、仁を為すを以て本と為し、忠信を以て主と為し、孝弟を以て先と為し、博文約礼を以て勤めと為し、君子為るを以て志と為す。是れ孔門人を教ふるの規模なり。仁なる者は何ぞや。是れ善を為すの総称、慈愛の理なり。孟子、放心を求むるを以て学問の道と為す。放心を求むる者は、乃ち仁を求むるなり。
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『呻吟語』内篇・談道・大擔當と大快樂仁以て己が任と為し、死して後已む、此れは是れ大擔當なり。老者は帛を衣て肉を食らひ、黎民は饑ゑず寒からず、此れは是れ大快樂なり。
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『大和俗訓』巻之六・躬行上其費を以て貧人をやしなはば、大なる利益なるべし。善を行ふとは、ただ人の利益になることを行ふにあり。人を利益すれば、天地神明の御心にかなひて、つひに其むくいありて、さいはひを得る理古来そのためし多し。およそ善を行ひて人をすくふこと、上は王公より、下は乞丐にいたるまで、行ふべき道あり。富貴貧賤によらず、ただ善を行ふ志だにあらば、善行はれずといふことなし。善を行ふべき時にあたりて、心をつくすべし。怠るべからず。まづしく賤しき人も、仁に志して行へば、其身に応じ、日々に人に利益あること多し。いはんや富貴の人其志あれば、人を救ふことひろく、其功大なり。たかきも賤しきも、怠なく久しく行へば、善をつむこと限りなし。
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