童子問 / 卷上
問。孟子曰。强恕而行。求仁莫近焉。何謂。曰。所謂求云者。求其所無之謂。不可作至字看。仁不可勉而爲。恕可强而能之。仁者。非有德者不能。恕者。力行者能之。爲其所强而能之恕。則自得不可勉而爲之仁。爲一件之恕。則得一件之仁。爲二件之恕。則得二件之仁。顧在其所勉强如何耳。故曰。求仁莫近焉。仁自是仁。恕自是恕。不可以恕作至仁之功夫。又不可爲有生熟大小之辨。
新字:問。孟子曰。強恕而行。求仁莫近焉。何謂。曰。所謂求云者。求其所無之謂。不可作至字看。仁不可勉而為。恕可強而能之。仁者。非有徳者不能。恕者。力行者能之。為其所強而能之恕。則自得不可勉而為之仁。為一件之恕。則得一件之仁。為二件之恕。則得二件之仁。顧在其所勉強如何耳。故曰。求仁莫近焉。仁自是仁。恕自是恕。不可以恕作至仁之功夫。又不可為有生熟大小之弁。
書き下し
問ふ、孟子曰く、「恕を強めて行ふ。仁を求むること焉より近きは莫し」と。何の謂ぞや。曰く、所謂求むと云ふ者は、其の無き所を求むるの謂なり。作して至の字と看るべからず。仁は勉めて為すべからず、恕は強めて之を能くすべし。仁は徳有る者に非ざれば能はず。恕は力行する者之を能くす。其の強めて能くする所の恕を為せば、則ち自ら勉めて為すべからざるの仁を得。一件の恕を為せば、則ち一件の仁を得。二件の恕を為せば、則ち二件の仁を得。顧ふに其の勉強する所の如何に在るのみ。故に曰く、仁を求むること焉より近きは莫しと。仁は自ら是れ仁、恕は自ら是れ恕なり。恕を以て仁に至るの功夫と作すべからず。又生熟大小の弁有りと為すべからず。
現代語訳
問う。孟子は「恕(思いやり)を努めて行う。仁を求めるのに、これより近い道はない」と言った。どういう意味か。答える。「求める」というのは、自分にないものを求めることをいう。(これを)「至る」の字のように見てはならない。仁は努力して行えるものではないが、恕は努めれば行うことができる。仁は徳のある者でなければできないが、恕は力を尽くして行う者ならできる。その努めれば行える恕を行えば、おのずから努力しても行えない仁を得る。一つの恕を行えば一つの仁を得、二つの恕を行えば二つの仁を得る。思うに、それはどれだけ努め励むかにかかっているだけである。だから「仁を求めるのに、これより近い道はない」と言うのである。仁はそれ自体仁であり、恕はそれ自体恕である。恕を仁に至るための工夫(手段)と見なしてはならない。また(両者に)未熟と成熟、小と大の区別があると考えてもならない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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論語・雍也篇宰我問いて曰く、「仁者は之に告げて『井に仁有り』と曰うと雖も、其れ之に従わんか。」子曰く、「何為れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむ可きも、陥る可からず。欺く可きも、罔う可からず。」
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論語・八佾篇子曰く、人にして仁ならずんば、礼を如(いかん)せん;人にして仁ならずんば、楽を如せん。
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論語・憲問篇「克・伐・怨・欲、行われずんば、以て仁と為す可きか。」子曰く、「以て難しと為す可し。仁は則ち吾知らざるなり。」
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論語・里仁篇子曰わく、不仁者は久しく約に処るべからず、長く楽に処るべからず。仁者は仁に安んじ、知者は仁を利とす。
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論語・里仁篇子曰わく、ただ仁者のみよく人を好み、よく人を悪む。
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論語・微子篇微子これを去り、箕子これに為に奴となり、比干諫めて死す。孔子曰わく、殷に三仁有り。
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