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童子問 / 卷上

童子曰。敢問古人之正方。曰。吾向云。子欲知予之意。讀論孟二書。足矣。非徒治病之的方。保養調理之術。亦悉備矣。今非止知得者少。記取者亦鮮矣。子苟熟讀誦味。當忻然有會于心。則猶無物之地。忽然有物。昨日所既讀。今日又如始讀。言言新矣。句句新矣。與初所見者。其意味深淺。夐然自別。勉哉。

新字:童子曰。敢問古人之正方。曰。吾向云。子欲知予之意。読論孟二書。足矣。非徒治病之的方。保養調理之術。亦悉備矣。今非止知得者少。記取者亦鮮矣。子苟熟読誦味。当忻然有会于心。則猶無物之地。忽然有物。昨日所既読。今日又如始読。言言新矣。句句新矣。与初所見者。其意味深浅。夐然自別。勉哉。

書き下し

童子曰く、敢へて古人の正方を問ふ。曰く、吾向に云ふ、子予の意を知らんと欲せば、論孟二書を読めば足れりと。徒に病を治するの的方のみに非ず、保養調理の術も亦悉く備はる。今止だ知り得る者少なきのみに非ず、記し取る者も亦鮮し。子苟も熟読誦味せば、当に忻然として心に会する有るべし。則ち猶ほ物無きの地に、忽然として物有るがごとし。昨日既に読みし所も、今日又始めて読むが如く、言言新たに、句句新たにして、初め見し所の者と、其の意味の深浅、夐然として自ら別なり。勉めよや。

現代語訳

童子が言った。あえて古人の正しい処方をお尋ねします。答える。私は以前、あなたが私の考えを知りたいなら、『論語』『孟子』の二書を読めば足りると言った。(二書には)ただ病を治す本来の処方があるだけでなく、養生し体を整える術もすべて備わっている。今の人は、それを知り得た者が少ないばかりでなく、心に留めておく者もまた少ない。あなたがもし熟読し口ずさみ味わえば、きっと喜ばしく心に会得するところがあるだろう。それはちょうど何もなかった所に、たちまち物が現れるようなものである。昨日すでに読んだところも、今日はまた初めて読むかのようで、一言一言が新しく、一句一句が新しく、初めて読んだときと比べて、その意味の深さは遥かに隔たっていることだろう。努めなさい。

解説

前章で語った「古人の正方」とは、結局『論語』『孟子』の二書だと仁斎は明かす。二書には病を治す処方だけでなく、日々の養生の術まで備わっているが、本当に読み込んでいる人は少ないという。熟読し口ずさみ味わえば、昨日読んだ箇所も今日は初めてのように新しく感じられ、意味の深さがまるで違って見えてくる。これは繰り返し読むことでしか得られない体験である。仕事の基本書や大切な資料も、一度読んで終わりにせず、時をおいて読み返すと、経験に応じて新しい意味が立ち上がってくるはずだ。

この章句が説くこと

論語孟子熟読学問読書会得

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