智囊 / 狡黠・曹操
〔述〕《世說》又載,袁紹曾遣人夜以劍擲操,少下不著,操度後來必高,因帖臥牀上,劍至,果高。此謬也!操多疑,其儆備必嚴,劍何由及牀?設有之,操必遷臥,寧有復居危地、以身試智之理。
新字:〔述〕《世説》又載,袁紹曽遣人夜以剣擲操,少下不著,操度後来必高,因帖臥牀上,剣至,果高。此謬也!操多疑,其儆備必厳,剣何由及牀?設有之,操必遷臥,寧有復居危地、以身試智之理。
書き下し
〔述〕《世説》に又た載す、袁紹は曾て人をして夜に剣を以て操に擲たしむ。少し下りて著かず。操は後に来たる者は必ず高からんと度り、因りて牀上に帖臥す。剣至り、果たして高し、と。此れ謬りなり。操は多疑にして、其の儆備は必ず厳し。剣は何に由りて牀に及ばん。設し之有るとも、操は必ず臥を遷さん。寧んぞ復た危き地に居りて、身を以て智を試むるの理有らんや。
現代語訳
〔述〕《世説》にはまた次のように載っている。袁紹はかつて人に夜、剣を曹操に向けて投げさせた。少し低くて当たらなかった。曹操は、次に来る剣は必ず高くなるだろうと推測し、そこで寝台にぴったり伏せていた。剣が来ると、はたして高かった、と。これは誤りである。曹操は疑い深く、その警戒は必ず厳重であった。剣がどうして寝台まで届くだろうか。たとえあったとしても、曹操は必ず寝る場所を移したはずだ。どうして再び危険な所に居て、わが身で知恵を試す道理があろうか。
解説
この短い一節は、馮夢龍自身が先行する逸話を疑い、検討して退けている点が重要です。袁紹が暗殺を試み、曹操が次の剣の軌道を予測して伏せたという話は劇的ですが、曹操の性格や警戒心を考えれば、そもそも同じ場所に寝ているはずがないと指摘しています。つまり、もっともらしい話でも、人物の一貫性や状況の整合性から検証する姿勢です。管理職にとっても、印象的な成功談や失敗談をそのまま鵜呑みにせず、前提条件との矛盾を確認する習慣が、判断の質を高めます。
この章句が説くこと
世説貼臥牀上此謬也逸話の検証批判的思考整合性
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