智囊 / 雄略・李侃妻
建中末,李希烈陷汴州,謀襲陳。李侃為項城令,欲逃去,婦曰:「寇將至,當守。力不足則死,焉逃之?若重賞募死士,可守也。」侃乃召吏民告之曰:「令誠若主,然滿歲則去,非如吏民生此土也,墳墓皆在,宜相與竭力死守。」眾皆泣,乃徇曰:「以瓦石擊賊者,賞錢千;以刀矢殺賊者,賞錢萬。」得數百人,率以乘城,婦自炊爨以享眾,使報賊曰:「項城父老,義不下賊,得吾城不足為威,徒失和,無益也。」會侃中流矢,走還。妻怒曰:「君不在,人誰肯守,死於外,不猶愈於牀乎?」侃乃登城,賊引去,縣卒完。
新字:建中末,李希烈陥汴州,謀襲陳。李侃為項城令,欲逃去,婦曰:「寇将至,当守。力不足則死,焉逃之?若重賞募死士,可守也。」侃乃召吏民告之曰:「令誠若主,然満歳則去,非如吏民生此土也,墳墓皆在,宜相与竭力死守。」衆皆泣,乃徇曰:「以瓦石撃賊者,賞銭千;以刀矢殺賊者,賞銭万。」得数百人,率以乗城,婦自炊爨以享衆,使報賊曰:「項城父老,義不下賊,得吾城不足為威,徒失和,無益也。」会侃中流矢,走還。妻怒曰:「君不在,人誰肯守,死於外,不猶愈於牀乎?」侃乃登城,賊引去,県卒完。
書き下し
建中の末、李希烈が汴州を陥れ、陳を襲おうと謀った。李侃は項城の令となっていたが、逃げ去ろうとした。婦は言った、「寇がまさに至ろうとしています。守るべきです。力が足りなければ死ぬだけです。どうして逃げましょう。もし重賞で死士を募れば、守るべきです。」侃は吏民を召して告げた、「令は誠に客のようなもので、歳が満ちれば去るもので、吏民がこの土に生まれたのとは違う。しかし墳墓はみな在る。相い与に力を竭くして死守すべきである。」衆はみな泣いた。そこで徇げて言った、「瓦石で賊を撃つ者は、賞銭千。刀矢で賊を殺す者は、賞銭万。」数百人を得て、率いて城に乗らせ、婦は自ら炊爨して衆に享し、賊に報じさせて言った、「項城の父老は、義として賊に下らない。吾が城を得ても威とするに足りず、徒らに和を失い、益がない。」たまたま侃が流れ矢に中って走り還った。妻は怒って言った、「君がいなければ、誰が守るでしょう。外に死ぬのは牀に死ぬより愈ではありませんか。」侃はそこで城に登り、賊は引き去り、県の卒は完かった。
現代語訳
建中年間の末、李希烈が汴州を陥落させ、さらに陳州を襲おうと企てた。李侃は項城の県令だったが、逃げ去ろうとした。妻は言った。「賊がまもなく来ます。守るべきです。力が足りなければ死ぬだけです。どうして逃げられましょう。もし重い賞を出して決死の者を募れば、守ることができます。」侃は役人や住民を集めて告げた。「私は県令といっても、仮の客のようなもので、任期が満ちれば去る。あなたたち役人や住民がこの土地に生まれたのとは違う。だが、あなたたちの先祖の墓はみなここにある。共に力を尽くして死守しようではないか。」人々はみな泣いた。そこで布告して言った。「瓦や石で賊を撃つ者には賞銭千。刀や矢で賊を殺す者には賞銭一万。」数百人を集め、率いて城壁に上がらせ、妻は自ら炊事をして人々に食事を出し、賊に伝えさせた。「項城の長老たちは義として賊に降らない。我らの城を得ても威を示すには足りず、むしろ和を失うだけで、何の益もない。」ちょうど侃が流れ矢に当たって退いて戻った。妻は怒って言った。「あなたがいなければ、誰が守るのですか。外で死ぬのは、寝床で死ぬよりもましではありませんか。」侃はそこで再び城に登り、賊は撤退し、県の守りは無事であった。
解説
この章句が説くこと
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言志四録・言志録 第百二条 禍は上より起る諺に云ふ、「禍は下より起る」と。余謂ふ、是れ亡国の言なり。人主をして之を誤信せしむべからず。凡そ禍は皆上より起る。其の下より出づる者と雖も、亦必ず致す所有り。成湯の誥に曰く、「爾万方罪有らば、予一人に在り」と。人主たる者は、当に此の言に監みるべし。
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論語・泰伯篇子曰く、『巍々(ぎぎ)たるかな、舜・禹の天下を有つや、而(しか)も与(あずか)らず。』
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