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智囊 / 雄略・晏恭人

晏氏,寧化人,嫁福之曾氏。夫死,守幼子不嫁。宋紹定間,寇大舉,晏依山為砦,召田丁諭曰:「汝曹衣食吾家,可念主母,各當用命。不勝,即殺我。」因解藏橐悉散與之,田丁莫不感奮,晏自捶鼓,令諸婢鳴金,賊退散。鄉人挈家歸砦者甚眾,晏以家糧助不給者,拓砦為伍,互相援應,賊弗能攻。全活老幼以數萬計。事聞,封恭人,賜寇帔,補其子承信郎。〔述評〕漢天子曰:「吾獨不得廉頗、李牧為將,豈憂匈奴哉?」雖然,何必頗、牧,誠得李侃婦、晏恭人以守,邵續女、崔寧妾以戰,劉太妃為上將,平陽昭公主副之,鄧曼、冼氏為參軍,荀崧女為游奕使,雖方行天下可也!大曆中,楊子琳襲成都,據之。崔寧屢戰力屈,寧妾任氏魁偉果乾,出家財十萬募勇士,信宿間得千人。設隊伍將校,手自麾兵,以逼子琳,琳拔城自潰。

新字:晏氏,寧化人,嫁福之曽氏。夫死,守幼子不嫁。宋紹定間,寇大舉,晏依山為砦,召田丁諭曰:「汝曹衣食吾家,可念主母,各当用命。不勝,即殺我。」因解蔵橐悉散与之,田丁莫不感奮,晏自捶鼓,令諸婢鳴金,賊退散。郷人挈家帰砦者甚衆,晏以家糧助不給者,拓砦為伍,互相援応,賊弗能攻。全活老幼以数万計。事聞,封恭人,賜寇帔,補其子承信郎。〔述評〕漢天子曰:「吾独不得廉頗、李牧為将,豈憂匈奴哉?」雖然,何必頗、牧,誠得李侃婦、晏恭人以守,邵続女、崔寧妾以戦,劉太妃為上将,平陽昭公主副之,鄧曼、冼氏為参軍,荀崧女為游奕使,雖方行天下可也!大暦中,楊子琳襲成都,拠之。崔寧屡戦力屈,寧妾任氏魁偉果乾,出家財十万募勇士,信宿間得千人。設隊伍将校,手自麾兵,以逼子琳,琳抜城自潰。

書き下し

晏氏は、寧化の人で、福の曾氏に嫁いだ。夫が死に、幼子を守って嫁がなかった。宋の紹定の間、寇が大挙したとき、晏は山に依って砦を為し、田丁を召して諭して言った、「汝らは衣食を吾が家に仰いでいる。主母を念うべきで、各おの命を用いよ。勝たなければ、すなわち我を殺せ。」そこで蔵橐を解いて悉く散じて与え、田丁は感奮しないものはなかった。晏は自ら鼓を捶ち、諸婢をして金を鳴らさせ、賊は退散した。郷人で家を挈えて砦に帰る者は甚だ衆く、晏は家糧を以て給らない者を助け、砦を拓いて伍を為し、互いに援応し、賊は攻めることができなかった。全活した老幼は数万を以て計えた。事が聞こえ、恭人に封ぜられ、冠帔を賜い、その子に承信郎を補した。〔述評〕漢の天子は言った、「吾は独り廉頗、李牧を将とすることを得ない。どうして匈奴を憂えようか。」そうではあるが、何ぞ必ずしも頗、牧ではない。誠に李侃の婦、晏恭人を得て以て守らせ、邵続の女、崔寧の妾を得て以て戦わせ、劉太妃を上将とし、平陽昭公主を副とし、鄧曼、冼氏を参軍とし、荀崧の女を游奕使とするなら、まさに天下を横行してよい。大暦中、楊子琳が成都を襲い、これに拠った。崔寧は屢ば戦って力が屈した。寧の妾の任氏は魁偉で果乾であり、家財十万を出して勇士を募り、信宿の間に千人を得た。隊伍将校を設け、手ずから兵を麾き、子琳に逼ると、琳は城を抜いて自ら潰えた。

現代語訳

晏氏は寧化の人で、福州の曾氏に嫁いだ。夫が亡くなると、幼い子を守って再婚しなかった。宋の紹定年間、賊が大挙して襲ってきたとき、晏氏は山を利用して砦を築き、小作人たちを呼んで諭した。「あなたたちは衣食を私の家に頼っています。主人の母のことを思い、それぞれ力を尽くしなさい。もし勝てなければ、私を殺しなさい。」そして蔵の中の物を開いて、すべて分け与えると、小作人たちは感激して奮い立たない者はなかった。晏氏は自ら太鼓を打ち、下女たちに銅鑼を鳴らさせ、賊は退散した。家族を連れて砦に身を寄せる郷里の人は大変多く、晏氏は自分の家の食糧で足りない人々を助け、砦を広げて隊に編成し、互いに連携させたので、賊は攻めることができなかった。命を救われた老人や子供は数万にのぼった。このことが朝廷に聞こえ、恭人の位に封ぜられ、冠と肩掛けを賜り、その子には承信郎の官が授けられた。〔述評〕漢の天子は「私だけが廉頗や李牧のような将軍を得られない。どうして匈奴を憂えずにいられよう」と言った。しかし、廉頗や李牧である必要はない。李侃の妻や晏恭人に守らせ、邵続の娘や崔寧の妾に戦わせ、劉太妃を総大将にし、平陽昭公主を副将にし、鄧曼と冼氏を参謀にし、荀崧の娘を偵察の長にすれば、天下を縦横に闊歩しても構わない。大暦年間、楊子琳が成都を襲って占拠した。崔寧は何度も戦って力が尽きた。寧の妾の任氏は体格がよく果断で、家財十万を出して勇士を募り、二晩のうちに千人を得た。隊伍や将校を設け、自ら兵を指揮して子琳に迫ると、子琳は城を捨てて自ら崩れた。

解説

晏氏は、守る対象である小作人に、自分の蔵を開いて分配し、勝てなければ私を殺せと責任を引き受けると宣言しました。これにより、雇われ人の立場だった彼らが、守る側の当事者に変わっています。さらに砦を拡大して避難民を受け入れ、数万人を救いました。リーダーが、先に自分の資源を差し出し、責任の所在を明確にすると、人は主体的に動きます。馮夢龍の述評は、名将がいなくても、こうした女性たちを組み合わせれば足りると、人材の枠を広げるよう促しています。実際の人材登用でも、既存の肩書や性別にこだわらず、成果を出せる人に任せる発想が重要です。

この章句が説くこと

不勝即殺我悉散与之砦人材登用責任表明資源配分

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