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智囊 / 集哲・潘炎妻

潘炎侍郎,德宗時為翰林學士,恩渥極異,妻劉晏女。有京兆謁見不得,賂閽者三百縑。夫人知之,謂潘曰:「為人臣,而京兆尹願一謁見,遺奴三百縑。其危可知也!」勸潘公避位。子孟陽初為戶部侍郎,夫人憂惕,謁曰:「以爾人材,而在丞郎之位,吾懼禍之必至也!」戶部解喻再三,乃曰:「試會爾同列,吾觀之。」因遍召客至,夫人垂簾觀之。既罷會,喜曰:「皆爾儔也,不足憂矣。」問末座慘綠少年何人,曰:「補闕杜黃裳。」夫人曰:「此人全別,必是有名卿相。」

新字:潘炎侍郎,徳宗時為翰林学士,恩渥極異,妻劉晏女。有京兆謁見不得,賂閽者三百縑。夫人知之,謂潘曰:「為人臣,而京兆尹願一謁見,遺奴三百縑。其危可知也!」勧潘公避位。子孟陽初為戸部侍郎,夫人憂惕,謁曰:「以爾人材,而在丞郎之位,吾懼禍之必至也!」戸部解喩再三,乃曰:「試会爾同列,吾観之。」因遍召客至,夫人垂簾観之。既罷会,喜曰:「皆爾儔也,不足憂矣。」問末座惨緑少年何人,曰:「補闕杜黄裳。」夫人曰:「此人全別,必是有名卿相。」

書き下し

潘炎侍郎は、徳宗の時に翰林学士と為り、恩渥極めて異なり。妻は劉晏の女なり。京兆の謁見を求めて得ざるもの有り、閽者に三百縑を賂す。夫人之を知り、潘に謂いて曰く、「人臣と為りて、京兆尹の願わくは一たび謁見せんとし、奴に三百縑を遺る。其の危うきこと知るべきなり」と。潘公に位を避けんことを勧む。子の孟陽は初め戸部侍郎と為るに、夫人憂惕して、謁して曰く、「爾の人材を以て、丞郎の位に在り。吾れ禍の必ず至らんことを懼る」と。戸部解喩すること再三、乃ち曰く、「試みに爾の同列を会せよ。吾れ之を観ん」と。因りて遍く客を召し至らしめ、夫人簾を垂れて之を観る。会を罷むるに既みて、喜びて曰く、「皆な爾の儔なり、憂うるに足らず」と。末座の慘緑少年は何人かと問えば、曰く、「補闕杜黄裳」と。夫人曰く、「此の人は全く別なり。必ず是れ名ある卿相ならん」と。

現代語訳

侍郎の潘炎は、徳宗の時代に翰林学士となり、恩寵は特別であった。妻は劉晏の娘である。京兆尹が謁見を求めても得られず、門番に三百匹の絹を賄賂として贈った。夫人はそれを知り、潘に言った。「臣下の身で、京兆尹が一度の謁見を願い、使用人に三百匹の絹を贈る。その危うさは知るべきです」。潘公に位を退くことを勧めた。息子の潘孟陽が初めて戸部侍郎になったとき、夫人は恐れ慎んで言った。「あなたの才で、丞郎の位にいる。私は必ず禍が来ると恐れます」。戸部侍郎は何度も説明して諭した。夫人は言った。「試しにあなたの同僚たちを集めなさい。私が見ます」。そこで客を広く招き、夫人は簾を垂れて見た。会が終わると、喜んで言った。「みなあなたと同じ程度の人です。心配するに足りません」。末席の浅緑の服の若者は誰かと尋ねると、「補闕の杜黄裳です」と答えた。夫人は言った。「この人は全く別格です。必ず名ある宰相になるでしょう」。

解説

潘炎の妻は、地位の高さに伴う危険と、人物を見極める眼の二つを持っていました。京兆尹が門番に賄賂を渡してまで面会を求める異常さから、夫の立場が危ういと察して退位を勧めています。また息子が若くして高位に就いたことを憂い、同僚を観察して、危険がないか確認しました。末席の杜黄裳を非凡と見抜いたのも、集まった人の中で誰が突出しているかを、冷静に比較できる観察眼の証です。管理職は、部下の地位が急に上がったときほど、周囲の評価や同僚との関係を丁寧に確認し、リスクを早めに摘む必要があります。

この章句が説くこと

賂閽者三百縑其危可知垂簾観之リスク人を見る目慎重

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