智囊 / 集哲・伯宗妻
晉伯宗朝,以喜歸。其妻曰:「子貌有喜,何也?」曰:「吾言於朝,諸大夫皆謂我智似陽子。」對曰:「陽子華而不實,主言而無謀,是以難及其身,子何喜焉?」伯宗曰:「我飲諸大夫而與之語,爾試聽之。」曰:「諾。」其妻曰:「諸大夫莫子若也。然而民不能戴其上久矣,難必及子,盍亟索士,憖庇州犁焉?」得畢陽。後諸大夫害伯宗,畢陽實送州犁於荊。初,伯宗每朝,其妻必戒之曰:「盜憎主人,民怨其上,子好直言,必及於難。」
新字:晋伯宗朝,以喜帰。其妻曰:「子貌有喜,何也?」曰:「吾言於朝,諸大夫皆謂我智似陽子。」対曰:「陽子華而不実,主言而無謀,是以難及其身,子何喜焉?」伯宗曰:「我飲諸大夫而与之語,爾試聴之。」曰:「諾。」其妻曰:「諸大夫莫子若也。然而民不能戴其上久矣,難必及子,盍亟索士,憖庇州犁焉?」得畢陽。後諸大夫害伯宗,畢陽実送州犁於荊。初,伯宗毎朝,其妻必戒之曰:「盗憎主人,民怨其上,子好直言,必及於難。」
書き下し
晋の伯宗朝して、喜びを以て帰る。其の妻曰く、「子の貌に喜び有り、何ぞや」と。曰く、「吾れ朝に言い、諸大夫皆な我を智なること陽子に似たりと謂う」と。対えて曰く、「陽子は華にして実らず、言に主として謀無し。是を以て難其の身に及ぶ。子何ぞ喜ばん」と。伯宗曰く、「我れ諸大夫を飲ましめて之と語らん。爾試みに之を聴け」と。曰く、「諾」と。其の妻曰く、「諸大夫は子に若く莫し。然れども民の其の上を戴く能わざること久し。難は必ず子に及ばん。盍ぞ亟かに士を索め、州犁を庇わしめざる」と。畢陽を得たり。後に諸大夫伯宗を害し、畢陽は実に州犁を荊に送れり。初め伯宗朝する毎に、其の妻必ず之を戒めて曰く、「盗は主人を憎み、民は其の上を怨む。子は直言を好む、必ず難に及ばん」と。
現代語訳
晋の伯宗が朝廷から喜んで帰ってきた。妻が言った。「あなたの顔に喜びがあるのはなぜですか」。伯宗は言った。「私が朝廷で発言し、大夫たちはみな私を、智では陽処父に似ていると言った」。妻は答えた。「陽処父は外見は華やかでも実がなく、言葉は多いが謀がなかった。だから災難が身に及んだのです。あなたは何を喜ぶのですか」。伯宗は言った。「私は大夫たちに酒を振る舞って語ろう。お前はこっそり聞いてみなさい」。妻は「はい」と言った。聞いたあと、妻は言った。「大夫の中であなたに及ぶ者はいません。しかし民が上の者を戴けなくなって久しく、災難は必ずあなたに及びます。急いで人物を探し、州犁をかばってもらってはいかがですか」。畢陽を得た。のちに大夫たちが伯宗を害し、畢陽は実際に州犁を楚に送り届けた。はじめ、伯宗が朝廷に出るたびに、妻は必ず戒めて言った。「盗人は主人を憎み、民は上の者を恨みます。あなたは直言を好む、必ず難に遭います」。
解説
この章句が説くこと
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