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智囊 / 武案・張貴・鐵菱角火老鴉

襄城之圍,張貴為無底船百餘艘,中豎旗幟,各立軍士於兩舷以誘之。敵皆競躍以入,溺死者萬餘,亦昔人未有之奇也。流賊犯江陰。縣人以鐵菱角布城外淖土中,縱牲畜其間。賊爭掠豕,悉陷。著菱角,不能起。擒數十人。後更不敢近城。流賊劉七等,舟泊狼山下。蘇人有應募獻計用火攻,其名「火老鴉」,藏藥及火於炮,水中發之。又為制形如鳥喙,持之入水,以喙鑽船,而機發之,以自運轉,轉透船可沉。試用之,已破一船,賊駭謂:「江南兵能水中破船,是神兵也。」乃捨舟登山,遂為守兵所蹙。

新字:襄城之囲,張貴為無底船百余艘,中豎旗幟,各立軍士於両舷以誘之。敵皆競躍以入,溺死者万余,亦昔人未有之奇也。流賊犯江陰。県人以鉄菱角布城外淖土中,縦牲畜其間。賊争掠豕,悉陥。著菱角,不能起。擒数十人。後更不敢近城。流賊劉七等,舟泊狼山下。蘇人有応募献計用火攻,其名「火老鴉」,蔵薬及火於炮,水中発之。又為制形如鳥喙,持之入水,以喙鑽船,而機発之,以自運転,転透船可沈。試用之,已破一船,賊駭謂:「江南兵能水中破船,是神兵也。」乃捨舟登山,遂為守兵所蹙。

書き下し

襄城の囲み、張貴、無底船百余艘を為り、中に旗幟を豎て、各おの軍士を両舷に立て、以て之を誘う。敵は皆な競い躍りて以て入り、溺死する者万余。亦た昔人の未だ有らざる奇なり。流賊、江陰を犯す。県人、鉄菱角を以て城外の淖土の中に布き、牲畜を其の間に縦つ。賊争いて豕を掠め、悉く陥る。菱角を著けて起つ能わず。数十人を擒う。後に更に敢えて城に近づかず。流賊の劉七ら、舟を狼山の下に泊す。蘇人、募に応じて計を献ずる有り、火攻めなり。其の名は火老鴉。薬及び火を炮に蔵し、水中に発す。又た制して形は鳥の喙のごとくし、之を持して水に入り、喙を以て船を鑽り、而して之に機を発し、以て自ら運転し、転じて透れば船沈むべし。試み用いるに、已に一船を破る。賊駭きて謂う、「江南の兵は水中に船を破る能う。是れ神兵なり」と。乃ち舟を捨てて山に登り、遂に守兵の蹙する所と為る。

現代語訳

襄城の包囲戦で、張貴は底のない船百余艘を作り、中に旗を立て、船の両側にそれぞれ兵士を立たせて、敵を誘った。敵はみな争って躍り込み、溺れ死んだ者は一万余に上った。これも昔の人にはなかった奇策である。流賊が江陰を犯した。県の人々は、鉄の菱の実形の針を城外のぬかるんだ土に撒き、家畜をその間に放した。賊は争って豚を奪おうとして、残らずはまった。菱の針が足に刺さって立てなくなり、数十人を捕らえた。その後は、二度と城に近づこうとしなかった。流賊の劉七らが、舟を狼山の下に泊めた。蘇州の人が募集に応じて計を献じた。火攻めである。その名は火老鴉という。火薬と火を砲に蔵し、水中で発する。また形を鳥のくちばしのように作り、これを持って水に入り、くちばしで船を穿ち、仕掛けを動かして自ら回転させ、回って貫けば船は沈む。試しに使うと、すでに一隻を破った。賊は驚いて言った。「江南の兵は水中で船を破れる。神兵だ」。そこで舟を捨てて山に登り、ついに守兵に追い詰められた。

解説

三つの例には共通した特徴があります。底のない船、足元に撒いた菱、水中で船を穿つ火老鴉は、いずれも敵の欲や油断、驚きに働きかけています。特に江陰の例では、豚という餌が賊の注意を引き、足下の罠に気づかせませんでした。人は目先の利益に反応するとき、自分の足元を見失います。この性質を知っていれば、他者を動かす際だけでなく、自分が誘惑に乗りかける場面でも、自制の助けになります。現代の管理職も、魅力的な話ほど足元を点検する習慣を持つべきです。

この章句が説くこと

無底船鉄菱角火老鴉餌油断奇策

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