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智囊 / 詭道・賀若敦

後周時,陳將侯瑱等圍逼襄州。賀若敦奉命往救,相持於湘、羅之間。初,土人密乘輕船,載米粟及籠雞鴨,以餉瑱軍。敦患之,乃偽為土人,裝船伏甲士於中。瑱軍人望見,謂餉船至,競來取。敦伏甲盡擒殺之。又敦軍數有叛人乘馬投瑱者,敦別取一馬,牽以趨船,令船中逆以鞭鞭之,如是者再三,使馬畏船不肯上。後伏兵江岸,使人乘畏船馬,詐投附以招陳軍,陳軍競來牽馬,馬既畏船不上,伏兵發,又盡殺之。以後實有餽及亡奔瑱者,並疑不受。

新字:後周時,陳将侯瑱等囲逼襄州。賀若敦奉命往救,相持於湘、羅之間。初,土人密乗軽船,載米粟及籠鶏鴨,以餉瑱軍。敦患之,乃偽為土人,装船伏甲士於中。瑱軍人望見,謂餉船至,競来取。敦伏甲尽擒殺之。又敦軍数有叛人乗馬投瑱者,敦別取一馬,牽以趨船,令船中逆以鞭鞭之,如是者再三,使馬畏船不肯上。後伏兵江岸,使人乗畏船馬,詐投附以招陳軍,陳軍競来牽馬,馬既畏船不上,伏兵発,又尽殺之。以後実有餽及亡奔瑱者,並疑不受。

書き下し

後周の時、陳の将侯瑱ら、襄州を囲み逼る。賀若敦、命を奉じて往きて救い、湘・羅の間に相い持す。初め、土人、密かに軽船に乗り、米粟及び籠の鶏鴨を載せて、以て瑱の軍に餉る。敦、之を患え、乃ち偽りて土人と為り、船を装い、甲士を中に伏せしむ。瑱の軍人、望み見て、餉船至ると謂い、競いて来り取る。敦の伏甲、尽く擒にして殺す。又た敦の軍に数々叛く人の馬に乗りて瑱に投ずる者有り。敦、別に一馬を取り、牽きて船に趨かしめ、船中をして逆え鞭ちて之を鞭たしむ。是くの如きこと再三、馬をして船を畏れて上らざらしむ。後に岸に伏兵し、人をして船を畏るる馬に乗らしめ、詐りて投附して以て陳軍を招かしむ。陳軍競いて来り馬を牽くも、馬は既に船を畏れて上らず。伏兵発し、又た尽く殺す。以後、実に餽る有り及び亡奔して瑱に至る者有るも、並びに疑いて受けず。

現代語訳

後周の時代、陳の将の侯瑱らが襄州を包囲して迫った。賀若敦は命を受けて救援に赴き、湘水・羅水の間で対峙した。はじめ、土地の人々がひそかに軽い船に乗り、米や粟、籠に入れた鶏やアヒルを載せて、侯瑱の軍に差し入れていた。敦はこれを憂え、そこで偽って土地の人に扮し、船を装って、甲冑の兵を中に伏せた。侯瑱の兵はそれを見て、差し入れの船が来たと思い、競って取りに来た。敦の伏兵は全員を捕らえて殺した。また敦の軍から、馬に乗って侯瑱のもとへ逃げ込む脱走者がたびたび出た。敦は別の馬を一頭取り、船に向かって引かせ、船の中から待ちかまえて鞭で打たせた。これを何度も繰り返し、馬が船を恐れて乗らないようにした。のち、岸に伏兵を置き、船を恐れる馬に人を乗せ、偽って投降させて陳軍を誘い寄せた。陳軍は競ってその馬を引こうとしたが、馬は船を恐れて乗らない。伏兵が起こり、また残らず殺した。以後、本当に差し入れる者や、逃げて侯瑱に投じる者がいても、陳軍はみな疑って受け入れなかった。

解説

敵の補給と調略の二つのルートを、偽の船と偽の脱走で塞いだ話です。賀若敦は、陳軍が差し入れを喜んで取りに来る習慣を利用して全滅させました。さらに脱走者の増加という自軍の問題を逆手に取り、馬に船を怖がらせるという細工で敵を誘い出しています。最後に残る結果が重要で、以後は本物の差し入れや投降も疑われて、敵は補給と離反者の両方を失いました。信用を壊す策は強力ですが、副作用も大きいことがわかります。経営でも、競合の情報源を断つ前に、自分の組織の人の出入りの管理が万全かを確認すべきです。

この章句が説くこと

偽為土人装船伏甲士牽馬趨船並疑不受危機管理信用

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